中古スマホ市場に参入した欧州発サービスが好調 「Airbnbと似た」仕組みとは?房野麻子の「モバイルチェック」(1/3 ページ)

» 2022年08月22日 15時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

 中古スマホ市場が着実に拡大している。MM総研が7月21日に公表した国内中古スマホ市場の調査結果によると、2021年度の中古スマホの販売台数は前年度比14.6%増で212万台で過去最高となった。

 大手通信事業者がiPhoneを一括1円などで販売し、それが未使用品として中古市場に流れたことや、複数端末利用の増加、法人の中古端末利用の増加も市場拡大をけん引した。22年度以降も中古スマホ市場は拡大すると予想している。

 そんな日本の中古スマホ市場に、21年3月に参入したのがフランス発のマーケットプレイスバックマーケットだ。

一定の品質を担保した中古端末を販売しているバックマーケット。日本では2021年3月からサービスを開始した

高品質な中古スマホが集まるマーケットプレイス

 会社としてのバックマーケットは14年に創業した、iPhoneなど中古端末を販売するマーケットプレイスを提供するユニコーン企業だ。バックマーケット自身は商品の在庫を持たず、バックマーケットに端末を出品している中古端末事業者から手数料を得るビジネスモデルを採っている。

 7月下旬に報道関係者を集めた説明会を開催したが、アジア太平洋地域ディレクターのアレックス・ジェローム氏は「宿泊者とホテルを提供する人の仲立ちをするAirbnbと似たような感じ」と話していた。

バックマーケットアジア太平洋地域ディレクター アレックス・ジェローム氏

 販売される端末は高品質を特徴としており、バックマーケットで決められている品質基準を満たさない端末は販売できない。また、最初の40日間は1日5製品までしか販売できず、バックマーケット側が出品されている端末を無作為に購入して品質チェックを行うこともある。

 実際の端末の検査や修理などは、出品する中古端末事業者が行うが、検査、クリーニング、必要な場合は修理し、動作保証された中古端末をバックマーケットは「リファービッシュ品」と呼んで、12カ月間の保障付きで販売している。

 バックマーケットは中古端末事業者をサポートする仕組みも用意している。フランスのボルドーにある研究所では、特にiPhoneに関するさまざまなデータを蓄積しており、それを出品する事業者に提供している。例えば、バッテリーの交換方法や、どんなバッテリーを選んで交換すべきかなども研究所が事業者にアドバイスするという。

 バックマーケット事業は欧米で順調に成長してきた。バックマーケットに登録し、出品している中古端末事業者は世界で1500以上存在し、16カ国でサービスを提供している。18年の販売総額は310億円で、現在はさらに上がっているという。

 バックマーケットはリファービッシュ品を新品に代わる選択肢とすることで、循環経済を促し、環境への悪影響を削減することをミッションとしている。同社によると、当初は安いからという理由で中古品を選ぶユーザーが多かったが、最近は環境を意識して中古品を買う人が増えてきているという。

 日本市場に対する期待も大きい。21年10月にスマホのSIMロックが原則禁止され、規制が緩和されている。また、最近の円安傾向で新品iPhoneの価格が高くなり、より安く高品質な中古品を求める消費者が増えている。日本での売上などは非公表だが、「予想以上の数字が上がっている」とジェローム氏。日本でもエコやサステナビリティを意識する層に訴求していくという。

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