コラボ店は売り上げを伸ばすだけではなく、店舗数も増やすことができるのではないか。比嘉さんには、そうした「希望の光」がうっすら見えていたようである。というのも、先ほどウェンディーズの課題を2つ挙げた。店舗数を増やすには「立地」と「人材」が不可欠なわけだが、コラボ店の場合、「2つの課題を解決できるのではないか」(比嘉さん)と考えたのだ。
ウルトラCはうまくいき、次はDである。ウェンディーズ・ジャパンがサントリーホールディングスの子会社であるファーストキッチンを買収したのである。
ウェンディーズは男性客が多いものの、カフェが弱かった。ランチとディナーの間のアイドルタイムに弱点があったのだ。一方のファーストキッチンはハンバーガーに弱みがあったものの、パスタやデザートは強く、女性ファンが多い。双方の弱点を補完することで、売り上げを伸ばし、店舗数を増やしていったのだ。
わずか1店舗からの復活――。「めでたし、めでたし」と思われた読者もいるかもしれないが、店舗数はどこまで増やそうと考えているのだろうか。社長の紫関修さんに尋ねたところ「マクドナルドをベンチマークにして、できるだけ早いタイミングで200店舗にしなければいけない」というのである。
いやいやいやいや、むりむりむりむり。店が増えたからといって、まだ50店舗ほどである。マクドナルドの差を考えれば、巨象とアリのようなもの(失礼)。まずは店舗数が近い、バーガーキング(154店、22年3月)やフレッシュネスバーガー(171店、22年4月)をターゲットにすべきではないかと聞いたところ、「それではいけない」(紫関さん)という。なぜか。
会社の大きな課題として、「偏りがある」と受け止めているからだ。店の大半は都市部に出店していて、地方は少ない。ポートフォリオに「偏りがある」ことは認識していたが、新型コロナの感染が広がることによって、それが「弱点」として浮き彫りになったのだ。
ご記憶に残っている人も多いと思うが、感染者が増えたことによって、都市部のオフィスからビジネスパーソンが激減した。飲食店の多くはダメージを受けたわけだが、その一方で、全国に展開しているマクドナルドは違った。売り上げを伸ばしたこともあって、「独り勝ち」と呼ばれた。
なぜ独走できたのかというと、紫関さんは「地方に店舗があるだけでなく、ドライブスルーやデリバリーにもチカラを入れていたことが大きい」と見ている。ポートフォリオをきちんと組んでいたので、企業の総合力を発揮できたのではないかというのだ。
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