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前澤氏の「突拍子もない」提案に、どうブレーキをかけた? ZOZO柳澤CFOに聞く対談企画「CFOの意思」(1/3 ページ)

» 2022年08月24日 16時30分 公開

連載:対談企画「CFOの意思」

 ベンチャーの成長のカギを握る存在、CFO(最高財務責任者)。この連載では、上場後のスタートアップの資金調達や成長支援を行うグロース・キャピタルの嶺井政人CEOが、現在活躍するCFOと対談。キャリアの壁の乗り越え方や、CFOに求められることを探る。

 前編に引き続き、対談相手はZOZO柳澤孝旨CFO(「やなぎ」は、正しくは木へんに「夕卩」)。創業株主で大株主だった前澤友作氏とのコミュニケーションに、副社長兼CFOとしてどのように取り組んだのか。マザーズ上場から5年かかって成し遂げた東証一部上場の舞台裏とは。──後編では、柳澤氏がCFOを務める上で注意してきたことを聞く。

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「創業社長で大株主」の前澤氏に対し、金庫番として気を付けたこと

嶺井氏: 社長との関係で悩まれたことはありませんか。特に、前澤さんのような稀代の天才、しかも創業社長と一緒にいることの大変さ、悩み、壁についてお聞きしたいです。

柳澤氏: 確かに前澤はものすごい経営者です。ただ……

 世間一般のイメージのように、突拍子もないことを言い始めるような、直感的に全てを決めるような人ではありません。非常に数字に強く、何かを始めるときには慎重になり、何度も石橋を作ってはたたいて壊すこともあるような人です。

 ですから、一緒にいて非常に楽でした。とはいえ、たまに突拍子もないことを言い始めるのも事実です。それに対しては必要に応じてブレーキをかけていました。

嶺井氏: 外から見るイメージとはだいぶ違いますね。社長であり、創業者であり、大株主という圧倒的な力を持つ前澤さんへ、どのようにブレーキをかけたのでしょうか。

柳澤氏: 前提としては一定の距離を保つことを心がけていたということがあります。長年の付き合いがありますが、実は一度も二人だけで飲みに行ったり食事に行ったりしたことがないんです。あえてドライな関係を保っていました。そして前澤さんが、私に対してリスペクトを持ってくれているというのも大きかったですね。

 ブレーキのかけ方にはさまざまなパターンがありますが、理路整然と説明して「だめです」と伝えたり、それを実行したらどうなってしまうのかということを時と場合に応じて伝えていました。

嶺井氏: コミュニケーションも工夫されていたんですね。

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