シラフでいることがクール! Z世代が「ノンアル・低アル」を好む理由酔っ払うのはカッコ悪い(2/5 ページ)

» 2022年08月29日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

積極的に「飲まない」選択をする人が増加

 元田氏によれば、欧米では、あえてお酒を飲まない、あるいは少量しか飲まないライフスタイルを指す「ソバーキュリアス」が増えるなど、「シラフでいることがクール」といった価値観が広まりつつあるという。

 ソバーキュリアスというワードの生みの親であるルビー・ウォリントン氏の著書『飲まない生き方 ソバーキュリアス』によれば、ソバーキュリアスを選ぶと「ぐっすり眠れるようになる」「お金が貯まる」「生産性がアップする」などの変化があるそうだ。

書籍は21年10月に発売された。ソバーキュリアスは、ソバー=シラフ、キュリアス=好奇心を組み合わせた造語(筆者撮影)

 元田氏は「日本でもソバーキュリアスに近い価値観が広がりつつある」と話す。アサヒビールの調査によれば、20〜60代の人口約8000万人のうち、お酒を飲まない人(飲めない人+あえて飲まない人)が約4000万人にのぼるという。中でも20〜30代はこの傾向が強く、半数以上が「飲まない」そうだ。

 「実際に20〜30代の人と話して聞かれたのは、『酔っ払うのはカッコ悪い』とか『合理的じゃない』といった声です。この年代は、一昔前の飲み会カルチャーを受け継いでいないし、節度ある飲み方が浸透していますよね。仲間とのつながりは大事にするけれど、コミュニケーションは従来の飲み会じゃなくてもいい、と考えるようです」(加藤氏)

取材に応じてくれたスマドリ社の取締役CMO 元田氏(写真左)とブランドマネジャーの加藤氏(筆者撮影)

 さらに、コロナ禍で飲み会や外食が減ったり、ノンアル・低アル商品のラインアップが増えたりするなかで、「飲み分け」の需要も増えているようだ。

 「以前は、運転しなければいけないからノンアルでガマンするなど、ノンアル・低アルはネガティブな選択肢と考えられていた気がします。しかし、最近はコンディションを保つために平日はあえてノンアル、週末だけお酒を飲むといった飲み分けをする人が増えているのかなと。酔いたくないけれど、ジュースやお茶では物足りない。そういう人が積極的な選択としてノンアル・低アルを選ぶという新たな市場ができている印象です」(元田氏)

 「私がまさにこのタイプで、1日の終わりにリフレッシュしたい。けれども酔いたくないという考えから、あえてノンアルを選ぶようにしています」(加藤氏)

 アサヒビールでは、アルコール度数0.5%の低アル飲料として、21年3月に「アサヒ ビアリー」(ビール)を、9月に「アサヒ ハイボリー」(ハイボール)を発売。当初は共働き世代の30〜40代に好評で、その後も順調に伸びている。21年のアルコール度数1%未満のビールテイスト飲料は前年比で118.1%、カクテルテイスト飲料は同126.7%に伸長したそうだ。

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