スイーツにおつまみ……進化する「おせち」 高額でも売れているのはなぜ?メリハリ消費が定着(1/3 ページ)

» 2022年09月03日 07時30分 公開
[ITmedia]

 2022年も残り4カ月を切り、百貨店では「おせち商戦」が始まった。巣ごもり需要を背景に、売り上げが好調に推移する中、各店は元旦の「おせち料理」だけでなく「おつまみおせち」や「スイーツおせち」といったバリエーション豊かな商品をそろえ、年末年始の食卓をトータルでアレンジしようと動いている。各種調査では、消費者の購入意欲も高く、普段は節約志向でも「ハレの日」には贅沢する「メリハリ消費」の傾向が定着しつつある。

9月に入り百貨店では「おせち商戦」が始まった

 「コロナ禍で年末年始の過ごし方が変わり、売り上げが大幅に伸びてきた」

 こう話すのは、大丸松坂屋百貨店営業本部でおせち料理を担当する内藤真光さんだ。もともと、近年は夫婦共働き世帯の増加で、おせちは「作る」から「購入する」形へと変化しつつある。同社のおせち料理の売上推移は、過去5年で約30%増加している。

大丸松坂屋百貨店では直近5年間でおせち料理の売り上げが30%増加している(同社提供)

 同社によると、昨年の年末はコロナ禍による自粛生活の影響で「帰省の代わりにギフトとしておせちを贈る」といった新しい購入傾向が見られたという。

 一方、今年はコロナ禍で迎える3度目の正月となり、帰省して家族で食事を楽しむ人が増えるとみられる。各社は、従来のおせち料理だけでなく、「おつまみおせち」や「スイーツおせち」など、バリエーション豊かな品ぞろえで、多様なニーズに応えようとしている。

「おつまみおせち」や映える「スイーツおせち」

 大丸松坂屋は、コロナ禍以降に増えた「宅飲み需要」に応えて「おつまみおせち」を展開する。25マスに敷き詰めた料理はオードブル形式で楽しむことができる。料理雑誌『あまから手帖』編集顧問の門上武司さん監修の「おつまみ 食いしんボックス」や、酒場詩人として知られるライターの吉田類さんが監修した「おつまみ玉手箱」(いずれも1万6800円)をそろえた。

門上武司さん監修「おつまみ食いしんボックス」(右)と吉田類さん監修「おつまみ玉手箱」(いずれも1万6800円)
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