スイーツにおつまみ……進化する「おせち」 高額でも売れているのはなぜ?メリハリ消費が定着(3/3 ページ)

» 2022年09月03日 07時30分 公開
[ITmedia]
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高額な商品なぜ売れる?

 百貨店のおせち料理といえば高価な印象を受けるが、意外にも消費者の購入意欲は高い。ハースト婦人画報社が9月1日に公表した、20〜69歳の女性約1000人を対象としたアンケート結果によると、約半数にあたる46.6%が来年のお正月用におせちを「購入する」と回答した。

ハースト婦人画報社が女性1000人に聞いたアンケートで約半数がおせちを「購入する」と回答した(プレスリリースより)

 購入予算の平均額は2万9964円と比較的高めで「自宅で作れないような品目が味わえる」「華やかで高級感がある」「自宅まで送り届けてもらえて便利」――が購入理由の上位3位を占めた。

 予算の内訳を見ると、約7割にあたる66.7%が「1万円以上3万円以内」と回答。一方で「10万円以上」と答えた人も3.3%いた。

購入するおせちの予算は約7割が「1万円以上3万円以内」と回答した(プレスリリースより)

 高額なおせちでも売れ行きが好調な理由について、大丸松坂屋百貨店の広報担当、長野美幸さんはこう話す。

 「近年は特に若い世代を中心に、お金の使い方にメリハリがついてきている。普段は堅実でも、年末年始など大切なイベントにはお金を出して豪華なものを食べるといった『メリハリ消費』の傾向が見られる」

 おせちの購入方法にも変化が見られる。ハースト婦人画報社の調査では、おせちの購入場所は「オンラインショップ・ネットショップ」(46.9%)が「デパート・百貨店の実店舗」(46.1%)を僅差で上回りトップとなった。

おせちの購入場所は「オンラインショップ・ネットショップ」が最も多い(プレスリリースより)

 大丸松坂屋百貨店だけで見ると、ネットショップ(EC)でおせちを購入する割合は、2017年度の22%から21年度は45%と5年間で23%もアップ。反対に店頭での購入は54%から36%へと減少している。同社は「おせちの主戦場はECに移った」と指摘する。

大丸松坂屋百貨店ではネットショップ(EC)でおせちを購入する割合が直近5年間で23%アップした(同社提供)

 ネットショップがおせち販売の主戦場となり、各社はSNSや動画投稿サイトでの発信にも注力する。SNSを利用する若い世代にも届き、おせちの購入意欲を高めている側面もあるとみられる。

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