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「誰とも話さない日も」テレワークで滅入る若手 メンタルヘルス不調はどう防ぐ?“よかれと思って”に要注意(1/3 ページ)

» 2022年09月05日 07時00分 公開
[企業実務]

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 本記事は、2022年7月号に掲載された記事「コロナ禍で求められる若手社員のメンタルヘルスケア」を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集し、転載したものです。


 コロナ禍の中、テレワークによるコミュニケーション不足のため、メンタルヘルスに不調を抱える若手社員が増えているようです。不調に早く気付き、対処するにはどうすればよいのか、対策を解説します。

 人は誰でも、就職することによる環境の変化や新しく学ぶ内容の多さのため、メンタルヘルスに不調を来すことがあります。

 特に新入社員は、いわゆる「5月病」といわれるメンタルヘルスの不調を引き起こしがちです。

 また、入社後数年が経過した若手社員も、仕事には慣れてきますが、後輩の指導など求められる役割が高度なものになります。結婚、育児など家庭環境が変化し、この会社で働き続けることが自分にとって最善の選択かと悩み始め、メンタルヘルスの不調に陥るケースも見られます。

 若手社員のメンタルヘルスの不調を解消するために必要なのは「コミュニケーション」です。他の社員や上司と話し合い、触れ合うことで、悩みが自分だけのものではないと知り、社会人として成長していくのが従来の在り方でした。

 しかしこのコロナ禍において、テレワークを導入する企業が増えた結果、コミュニケーション不全に陥っているケースをよく見受けます。

 自分1人で悩みを抱えた状況で働き続けることは、従業員・会社の両者にとって不幸な状態です。若手社員が出社できなくなるほどのメンタルヘルス不調に陥ることは、避けなければなりません。

 ここでは、代表的な3つの事例を挙げたうえで、コロナ禍で求められるメンタルヘルスケアに言及します。

【事例1】テレワークの中で不調に 23歳女性 Aさん(入社2年目/経理担当)

 Aさんはコロナ禍入社組です。オンラインでの入社時研修終了後、経理部に配属されました。6年先輩の女性社員Bさんがサポート役に付き、その指導のもとほぼテレワークで働いています。出社するのは、月に1回あるかどうかという程度。地方出身者のAさんは一人暮らしで、終日誰とも話さない日もあります。

 入社時の研修もオンラインばかりだったので、話し合える同期もいません。入社して1年が経過してもなお、会社内に仲がよいといえる人もいません。

 経理部での定期的なオンラインミーティングでも、課長が気を遣って発言を促してくれますが、それ以外は黙ったまま。定型的な仕事はできるようになった気はしますが、本当にできているのか自信がありません。

 この春には、後輩が経理部に配属されてきました。「あなたも先輩よ。もっといろいろできるようにならなくちゃ!」とBさんに言われ、「どうしよう、できるかな」と不安な気持ちがわきました。

 昨年は新人だと思うことで、どうにか頑張ってきましたが、後輩もできた今の方が、より基本的なことなどが聞きづらくなり、しんどさも増した気がします。

 最近はよく眠れない日が続きます。夜中に目が覚めてしまう回数が増えました。

課題と教訓

  • 定期的に指導を行いミーティングを開いたとしても、人間関係が深まるとは限りません
  • 人間関係が深まらない状態でのテレワークは、不安や疑心暗鬼をより深刻なものにしてしまうことがあります
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