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「誰とも話さない日も」テレワークで滅入る若手 メンタルヘルス不調はどう防ぐ?“よかれと思って”に要注意(2/3 ページ)

» 2022年09月05日 07時00分 公開
[企業実務]

【事例2】テレワークの解除で不調に 27歳女性 Cさん(入社4年目/設計開発職)

 もともとCさんは、「自分のペースで仕事をすることを重視し過ぎる。もっと周りと連携して仕事を進めてほしい」と周囲から指摘されていました。同じチームの、集団行動を優先するD主任(52歳)とは、そもそも折り合いがあまりよくなかったようです。

 Cさんの会社でも、コロナ禍でテレワークが推奨され、出社率を50%以下に抑えるようにグループ長から指示がありました。

 Cさんの部署では特殊なソフトを使うため、テレワークでは仕事がしづらくなります。しかし、CさんはD主任との折り合いの悪さもあり、週4日ペースでテレワークを行っていました。

 コロナの流行が落ち着いてきたことから、会社は一律の出社制限を解除しました。

 グループ長はCさんに、テレワークを週に2回までにするように指示したところ、Cさんの遅刻や急な年休取得が頻発。

 Cさんは「通勤電車のストレスで心身の負担が大きく、定時に出社できません。毎日D主任と顔を合わせなければならないのもつらいです」と主張します。

 一方で、テレワークだと使えないソフトがあるため、Cさんの仕事が滞っていた現状も明らかになりました。

 D主任からは「必要なときにはきちんと出社してもらわないと困る。人の好き嫌いで仕事をされてはたまらない」というクレームがグループ長に届いています。

課題と教訓

  • グループ長は、テレワークで顔が見えない中、Cさんが毎日どのように仕事をしているか把握していませんでした
  • グループ長は、テレワークが人間関係に悪影響を及ぼす可能性に、気を配りませんでした

【事例3】テレワークが多忙のあまり不調に 32歳男性 Eさん(入社7年目/営業職)

 営業部で働くEさん。部のエースとして、コロナ前は、朝は取引先に直接出向き、帰社後は深夜までデスクワークをするなど、毎日多忙を極めていました。帰宅は深夜になることもたびたびでした。

 コロナ禍になり、Eさんの会社もテレワークを導入するようになりました。

 営業部長は、テレワーク導入時も部員の仕事の多寡を調整せず、稼ぎ頭のEさんにはこれまで通りの仕事をするよう命じました。

 しかしテレワークを始めると、Eさんの多忙ぶりが家族にも影響を与え始めます。

 毎日、Eさんには何十件もの電話がかかるようになりました。早朝や深夜、家族が寝ている時間にも電話対応をし、時にはそのまま仕事を始めるEさん。

 Eさんの妻子もストレスがたまり、毎日口論が絶えません。家族仲も悪化してしまいました。

 Eさん自身もメンタルヘルスに不調を覚えています。

課題と教訓

  • 多忙なEさんに、多くの仕事を任せたままテレワークを開始したことが問題です
  • 営業部長はテレワーク導入時に、さらには導入後でも、各部員の仕事量を把握して、適切に仕事を割り振る必要がありました

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