「残業123時間」教員の働き方改善する方法は? 「部活指導は教員以外で」賛成7割強18歳以上の1000人にアンケート

» 2022年09月08日 10時40分 公開
[ITmedia]

仕事に役立つ調査データ:

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 コンサルティング事業を手掛ける紀尾井町戦略研究所(東京都千代田区)は、教員の働き方や教育の質に関する意識調査を実施した。長時間労働が常態化し「ブラック職場」と指摘される教員の働き方に関し、部活指導を教員以外に全面的に任せることについて「賛成」が8割近くに上った。

紀尾井町戦略研究所は教員の働き方に関する意識調査を実施した(ゲッティイメージズ)

 教育現場では働き方改革に向け、教員の代わりにスポーツなどを教える「部活動指導員」の導入が進みつつあり、この制度への「反対」はわずか7.8%と、支持が広がっている現状がうかがえる。

 教員の業務量を減らすための取り組みとしては、テストの採点補助・新型コロナウイルス対策の消毒作業などを行う「スクール・サポート・スタッフ」の導入も進みつつある。こうした教員ではない補助職員の配置推進についても、「賛成」が82.2%で、「反対」7.7%を大きく上回った。

「部活動指導員」の導入に8割近くが賛成した(プレスリリースより、以下同)

 一方で、教員の長時間労働を解消するために授業時間を減らすことについては、「反対」が53.2%に上り、「賛成」は24.0%だった。「賛成」を年代別に見ると、10〜20代は4割台、30〜50代は2割台、60代以上はいずれも1割台だった。

教員の働き方改革を目的とした授業時間の削減には「反対」が5割を超えた

 また、詰め込み型の学習を避ける「ゆとり教育」を転換し、学習内容を増やす「脱ゆとり教育」を「いいと思う」と回答した割合は66.6%で、「悪いと思う」11.3%を大きく上回った。「いいと思う」とした人を年代別に見ると、10〜20代は4割台、30代は5割台、40代以上はいずれも6割台か7割台だった。

 教員の業務量削減は支持する声が大半だが、授業時間や質の低下に結びつくことは避けるべきとの意見が大勢であることがうかがえる。

「脱ゆとり教育」には7割近くが賛意を示した

 教員の働き方を巡っては、連合のシンクタンク「連合総研」が9月7日に最新の調査結果を発表した。公立学校の教員の残業時間は1カ月当たり平均123時間に達し、「過労死ライン」とされる月80時間を大幅に超える過重労働の実態が浮き彫りになった。2015年調査と比較しても仕事時間の長さにほとんど変化はなく、教員の働き方改善は一向に進んでいないのが実情だ。

 紀尾井町戦略研究所の調査は9月2日、全国の18歳以上の男女1000人を対象にインターネットで実施した。

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