東急100周年、なぜ一貫して「沿線ビジネス」を続けるのか継続は力なり(3/3 ページ)

» 2022年09月10日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]
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沿線ビジネスでどれだけ利用が増えたのか

 東急グループの沿線ビジネスで、最も成功したのは多摩田園都市である。多摩田園都市は、東急田園都市線を中心としている。その東急田園都市線に、南町田という駅があった。2000年にグランベリーモールができ、それまで1日に7000人いなかった乗車人員が、1万人を超えた(東京都統計による)。

 その後、17年にグランベリーモールが閉鎖、19年に南町田グランベリーパークが開業し、駅名も南町田グランベリーパーク駅とすると、1日4万人超えの乗降人員となった(東急の発表データより)。

南町田グランベリーパーク駅(出典:プレスリリース)

 東急は100周年の広告で、「『自律分散』をめざすまちづくり」を掲げ、その一例として南町田グランベリーパークを紹介している。「職」「住」「遊」「学」が近接融合したまちづくりを目指し、駅直結のマンション計画もあり、テレワークスペースも備えるという。巨大な施設をつくるだけではなく、その地域を育ててきたことが、東急の沿線ビジネスの一貫性を示している。

 最近では、東急田園都市線の駅近くにマンションが多く建つ一方、駅からバスでなければ行けないような住宅街でも、交通の便が良くなるようなデマンドバス事業にも取り組んでいる。

 長年にわたって沿線に住んでいた人が高齢化する中、交通の便を良くしないと快適な暮らしができないという考えである。一方でマンションへの移住促進や、新規居住者確保などの考えもある。

 沿線の地域を育てていくことを、東急グループは継続して続けているのである。

 鉄道とまちづくりを基本にした、沿線ビジネスを一貫して続けてきたことが東急グループの強みであり、一貫性ゆえに100周年の社史もつくることができた。その強みが、今後も東急グループを発展させ続けるだろう。

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