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偉ぶる「若手管理職」を生み出さないために 「脱・年功序列」成功のカギは?NTTも20代で管理職可能に(2/4 ページ)

» 2022年09月14日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 そこで必要となるのが、従来の「年功序列型管理職」から「ミッション遂行型管理職」への管理職像のアップデートです。年功序列型管理職像では、年長者が年少者をマネジメントする図式が基本になっています。そのため、社歴や人生経験において先輩であることを前提に、上下の関係性が構築されることになります。

 一方、ミッション遂行型管理職は、あくまでミッション遂行を目的としてマネジメントします。そこに社歴や年齢、人生経験の豊富さなどは関係なく、目的達成のために的確な指示ができる者とその指示を着実に遂行できる者という役割の違いにもとづき、仲間意識でつながったフラットな関係が構築されることになります。

 しかしながら、職場は人の集まりです。日常生活の中で慣習として根づいている年長者と年少者の上下関係や礼儀などから、完全に切り離せる訳ではありません。その点、年功序列型管理職像であれば、年長管理職が年少メンバーをマネジメントする限りは日常生活での関係性を仕事上の関係性にそのまま当てはめることができました。

年少管理職が押さえておくべき3つのポイント

 一方、ミッション遂行型管理職が年長メンバーをマネジメントするに当たっては、日常生活の関係性と仕事上の関係性を切り分けた上で、上手くバランスをとる必要があります。押さえておくべきポイントとしては、大きく3つです。

 1つは、管理職だから自分は偉いなどと勘違いしないことです。ミッション遂行型管理職とメンバーは、指示を出す側と遂行する側という役割の違いだけのフラットな関係であり、年功序列型管理職のように上下関係を前提にしている訳ではありません。それを年少者の自分が管理職に抜擢されたからと、あたかも特別偉い人にでもなったかのように勘違いし、年功序列型管理職像にひもづく上下意識だけを持ち込んでしまうと、職場にとって残念な存在になってしまいます。

 「自分は管理職なのだからエライ」と勘違いした年少管理職は、年長メンバーに平気で乱暴な言葉を使ったり横柄な態度をとったりしてしまいがちです。年長メンバーの中には仕事だと割り切ってくれる人もいると思いますが、多くは偉ぶる年少管理職に反発心を覚えるはずです。

 年長メンバーは、年少管理職に“偉さ”を求めているのではありません。目的達成のための的確な指示を求めているのです。それなのに独りよがりな上下意識を持ちこんで上から目線の物言いなどをしてしまうと、年長メンバーとのコミュニケーションを歪ませることになります。

 2つ目は、部門の成果を最大化させられるようメンバーの成功を支援することです。経験豊富で頼りになる年長メンバーであれば、大いに仕事を任せられるかもしれません。年長メンバーの方が実務能力が高く、自分には出る幕がないということもあり得ます。しかしそのような場合でも、より仕事しやすい環境を整えるなど管理職として支援できることはあるはずです。

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