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偉ぶる「若手管理職」を生み出さないために 「脱・年功序列」成功のカギは?NTTも20代で管理職可能に(4/4 ページ)

» 2022年09月14日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]
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 以前書いた記事「ノジマやYKKは定年撤廃 シニアの戦力化が企業にもたらす恩恵とは?」で紹介したように、総務省の労働力調査によると15〜29歳の就業者比率は1971年に33.2%もあったのに対し、50年後の2021年には16.5%へと半減しました。一方、同じ期間における60歳以上の層は、8.8%から21.4%へと2倍以上に増加しています。

 人口動態を考えると、今後も就業者の若年層比率は下がり、ミドル層やシニア層などの比率は上がっていくことが予想されます。すると必然的に、年少管理職が年長メンバーをマネジメントするという組み合わせは増えるはずです。

“勘違い”年少管理職を生み出さないためには

 これまで日本の会社は、年功序列型管理職像を軸に、年長管理職と年少メンバーによる親分子分のような関係性を基本に据えてきました。それは日常生活における年長者と年少者の上下関係を職場にも適用することとなり、家族的会社運営をしていくにおいては親和性もあったのだと思います。また、管理職やメンバーのキャラクターによっては、年少者が管理職で年長者がメンバーという組み合わせに親分子分のような上下関係を当てはめても、しっくりきて上手く機能する場合もあるとは思います。

 しかし、就業者の年齢構成が大きく変わり、経営環境の変化は目まぐるしく、多様性が重視される価値観が広がる中で、家族的会社運営以外の選択肢も必要になってきているのが現状です。

 既にベンチャー企業などを中心に、年少管理職が年長メンバーをマネジメントする事例はたくさん生じています。その際に、年功序列型管理職像をアップデートしないまま上下意識だけを残していると、自分を偉いと思い込んだ“勘違い年少管理職”や、逆に過度に遠慮してしまう“気後れ年少管理職”を生み出してしまうことになります。そんな職場は、年少管理職にとっても、年長メンバーにとっても仕事しづらい環境に違いありません。

 冒頭で紹介した記事にもある通り、これから年少管理職が思い切って登用される職場はさらに増えていく可能性があります。その際に、まず会社が真っ先に取り組まなければならないのは、年功序列型管理職像が浸透した職場風土を改善し、管理職とメンバー双方を親分子分的な上下関係一択の呪縛から解放してあげることなのではないでしょうか。

著者プロフィール・川上敬太郎(かわかみけいたろう)

ワークスタイル研究家。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”の声のべ4万人以上を調査したレポートは200本を超える。NHK「あさイチ」他メディア出演多数。

現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。


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