――「お局」と聞くとベテラン層を想起しがちですが、「若手お局」(20〜30代前半)も存在するのですか?
川村: 若手のお局も存在します。実際に私も、30代半ばのお局の話を聞いたことがあります。その人は男性優位の会社で働いていました。男性管理職と不倫をし、“正規ではないルート”で評価をされていたため、若くても組織を牛耳れる存在だったようです。新人いじめのほかに、年上をバカにするなどの行為に及んでいました。
――若手お局ならではの特徴はあるのでしょうか?
川村: 若手お局はベテランお局と比較して、より自身のタイトルや地位に固執しています。ベテランお局は愛社精神が強く、仕事に対して正しく評価されたいという感情が強い傾向にあります。対して若手お局は、仕事で評価されなくても別に構わない、気に入られるかどうかが第一だという意識が強いようです。
――若手お局が増えている原因をどのように考えていますか?
川村: 理由は2つあると考えています。1つは「女性活躍推進」、もう1つは男性の意識改革が遅れていること。1つ目の女性活躍推進に関しては、現在女性管理職を増やそうという動きが高まっていますよね。ところが、女性を起用すればするほどお局が発生するリスクも高まってしまいます。女性はお局になりやすいリスクを秘めているからこそ、何かしらの対策を講じなければいじめや嫌がらせも増えてしまうのではないでしょうか。
川村: 2つ目の男性の意識改革に関しては、女性間の問題に対して「僕はそういうの苦手なので」「女性同士で何とか解決してよ」などと介入を避ける男性が多いのが現状です。まずは男性にメンタルヘルスに興味を持ってもらい、お局の心理を理解してもらうことが必要だと考えています。メンタルヘルスの知識があれば、自らが介入し、職場環境の改善に取り組むことができるでしょう。
また、女性を束ねる立場にある人は組織をよく観察し、女性たちとたくさん会話してほしいです。現状は、お局がいることにすら気付かず、メンタル不調者が続出して初めて問題に気付くケースも多いので。お局のいじめ、嫌がらせは巧妙なものが多く見つけにくいことも多いですが、常に目を配り、女性の能力を生かす組織作りを行ってほしいです。
北海道生まれ。一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定「産業カウンセラー」。日本人間性心理学会所属。上智大学グリーフケア研究所所属。防衛省、国土交通省、財務省をはじめ、国立機関や一般企業にて産業カウンセラーとして臨床経験を積み、現在航空自衛隊外部カウンセラー。幼少期に母が他界。亡母が闘病中に書き記していた日記を見つけ、職場での人間関係の悩みやストレスを驚くほど抱えていたことを知る。さらに、日本で初めてカウンセラー制度を導入した機関にて母が勤めていたことをきっかけに、職場のストレスや人間関係の悩みを抱えている方たちの力になりたいと強く思い、産業カウンセラーを志す。また、死別の苦しみや痛みをケアする「グリーフケア」の普及啓発にも積極的に取り組む。心理臨床オフィス「サクラメント函館東京カウンセリングオフィス」代表。著書に『嫉妬のお作法』(フォレスト出版)がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング