ただし、今後に向けて気掛かりなこともある。それは、コロナ禍が落ち着いた後のインバウンド受け入れについてだ。
吉田さんは「これまではお客さまが日本人だったので、城に対する一定の知識や、時代背景への理解も深かったと思っています」と明かす。
大洲城への宿泊は、豪華な体験ができる一方で、人によっては不便に感じる部分も多い。城内には、設置ができないためクーラーがない他、ベッドの搬入もできない。お風呂も隣接する建物まで移動する必要がある。単純に“1泊100万円の高級宿”として考えると、できないことも多いのが実情だ。
吉田さんは「もし『文化や歴史の継承しながらサステナブルな消費をする』というメッセージが伝わらず、『ラグジュアリーな体験』として表面的に捉えたお客さまが宿泊されたとしたら、不満足に感じられると思います」と懸念する。
「特に、国と文化背景が違う方に理解してもらうには、感度の高い方を集客する必要があります。となると、海外の旅行代理店やトラベルデザイナーの方にもそうしたわれわれの本質的な価値を伝えないといけません。一方で、価値を押し付けして我慢ばかりを強いるようではいけないので、バランスを取りながら計画を立てていく必要があるな、と考えています。対応の難易度は上がると思います」
これまで大洲城に宿泊したお客は9組だ。大洲城キャッスルステイは年間30泊を上限としているため、今後はその上限に近い予約を確保することが目標となる。インバウンド向けの対応は、個々の利用客の反応を見ながら慎重に進めていくという。
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