大洲市では、大洲城キャッスルステイと同時期に古民家を改装した分散型ホテルの「NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町」もオープンしている。
分散型ホテルは現在、28室を運営。今年度新たに4室追加して、32室になる予定だ。予約は好調で、今年の8月には合計1000人以上が宿泊した。平均単価は1人1泊3.5万円ほど。
こうした取り組みによって「地元の方々は口をそろえて、『目に見えて来ているお客さんの層が変わった』『街が変わった』と言っています」と吉田さんは笑顔を見せる。
従来、大洲市の宿泊施設の多くはビジネスホテルだった。観光はバスツアー客がメインで、日中に大洲城などを観光して夜は別の観光地へ去っていくことがほとんど。そのため、街の経済への貢献にはつながっていなかった。
こうした状況から一変して裕福な顧客層が増え、街は劇的に変わったという。
「数年前では一切考えられなかったようなことが、今この街の中で起きているという実感があります。1泊2日の滞在の中で、街の中でお土産を買ったり、ご飯を食べたり、さまざまな消費が生まれます。こうした直接消費だけでなく、ホテルが地元のお酒や食材を買い付けてふるまう間接消費もあります。地域への波及効果はものすごく大きいと思います」
吉田さんは現在、バリューマネジメントからの出向の形で大洲市役所にも所属し、街づくりに深く関わっている。街としての今後の目標は、関係人口となるファンを増やしていくことだという。
「ホテルやキャッスルステイを目的に来たお客さまに、街のファンになって帰ってもらいたいです。継続的に、季節や人を変えて何度も足を運んでもらったり、ふるさと納税の際に選んでいただいたり、長く街とのかかわりを持ってくれる方をいかに増やしていくかが重要だと思います。
そのためには、宿だけではなくこの街でお店をしている方々や地域の皆さまと連携して、街全体としておもてなしをする。街中のどこに行っても、温かく迎えられている。そういった街を目指していきたいので、街全体を巻き込んでこれからも取り組んでいきたいと思います」(吉田さん)
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