非常時のローミングやSIMなし緊急通報はなぜ実現困難なのか? KDDI大規模障害で注目房野麻子の「モバイルチェック」(1/6 ページ)

» 2022年09月26日 12時05分 公開
[房野麻子ITmedia]

 7月2日に発生したKDDIの大規模障害では、KDDIの携帯電話ネットワークを利用するauやUQ mobile、MVNOの携帯電話が2日間使えなくなった。この障害ではデータ通信や音声通話だけでなく、警察や消防への緊急通報もつながりにくくなった。

 そんな中、注目を集めているのが、障害時などに臨時的にほかの事業者のネットワークを利用する「事業者間ローミング」だ。特に緊急通報は命に関わるもの。現在、緊急通報の多くが携帯電話からとなっており、非常時でも受理できる仕組みの検討が急がれている。

 総務省は、9月28日に「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」を開催する。この検討会については、8月3日の臨時記者会見で当時の金子恭之総務大臣が検討会を9月を目処に立ち上げると発言していた。非常時における通信手段の確保に向けて、携帯電話事業者間ローミングやWi-Fiの活用など幅広い方策を、外部有識者や携帯電話事業者、緊急通報を取り扱う機関が参画して検討する予定だ。

 そんな中、インターネット接続サービスやWANサービスなどネットワークサービスを幅広く手掛けるインターネットイニシアティブ(IIJ)が、「携帯電話事業者間ローミングと緊急通報」についての解説動画をYouTubeで公開した。IIJの技術広報担当堂前清隆氏が、4G(LTE)携帯電話のローミングや緊急通報が実際にどのように行われているのかを解説している。非常に分かりやすい解説動画なので、ぜひご覧いただきたいが、ここではその概略を紹介したい。

IIJのYouTubeチャンネルで携帯電話事業者間ローミングと緊急通報についての解説動画が配信されている
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