澤井: スポーツにおいてもメディア露出は広報戦略のひとつです。ただ、全員にすすめるわけではありません。スポーツマネジメントの場合は、「競技」を軸にしてその人の性格、価値観などを理解し、そのうえで個々にあわせた売り込みをかけていきます。そういった意味では、何よりも「これまでの競技を生かせるるかどうか」を大事にしていますね。それをかなえる手段がメディアなのか、他の方法なのかはその人の“やりたいこと”次第です。
澤井芳信 スポーツバックス代表取締役 京都成章高校では主将を務め、1998年夏の甲子園決勝戦で松坂大輔擁する横浜高校と対戦し準優勝。同志社大学では3年時に関西学生リーグベストナインを獲得。社会人野球「新日鐵君津硬式野球部」(現・日本製鉄かずさマジック)に所属。4年間プレーし引退後、スポーツマネジメント会社に就職。2013年に独立し、スポーツバックスを起業。上原浩治はじめ13人のマネジメントに加え、トレーナー派遣事業「BodyUpdation」や鈴木誠也のMLB移籍で手腕を発揮するなど「スポーツをデザインする」を理念にさまざまなスポーツ事業を手掛ける。佐藤: 確かに、僕も最初に“やりたいこと”から聞きますね。ただ、エンタメ業界の場合はやりたいこともそのかなえ方も多種多様ですが、スポーツ業界の場合は「競技の普及」など、やりたいこともそれを実現する手段も差別化が難しい印象があります。
澤井: おっしゃる通りで、今はスポーツ系の教室もイベントも数多くあります。いくら名の知れたアスリートと言えども「スポーツ教室を開きます」「イベントを開催します」だけでは集客が難しくて……。お客さんに来ていただくためには、独自性がないといけない。その独自性を見つけるために、“やりたいこと”を徹底的に掘り下げるようにしています。
佐藤: どのように掘り下げを?
澤井: 当社がマネジメントを担当している元水泳選手の萩原智子さんを例に出すと、彼女に“やりたいこと”を聞いたら「競技の普及のためにも水泳教室をやりたい。でも、水泳教室だけで終わりたくない。水泳×○○でやりたい」と言われたんです。何より水泳教室は彼女が“やりたいこと”ではなく、やりたいことをかなえるための“手段”だと思い、あらためて「なぜ水泳教室がやりたいのか」と問いかけました。
そうしたところ、彼女の中に「水の大切さ、水への感謝を共有したい」という思いがあることが分かって……。日本ではアスリートに限らず、子どもからお年寄りまで年中水泳を楽しんでいる人が多いですよね。でもそれは、海に囲まれた水が豊かな国だからこそできるんです。誰でも水泳ができるって、実はとても豊かで幸せなこと。水泳を通じて、その思いを伝えることこそが彼女の“やりたいこと”だったんです。
その結果、「森」で水が生まれる仕組みや水の大切さを学び、そのあとに「プール」や「川」で水と触れ合うという、水を学び(エデュケーション)水とコミュニケーションする「水ケーション」という事業を行うことになりました。
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