16億円もかけたのに、なぜ「国葬」がチープに感じたのか 「低賃金」ならではの理由スピン経済の歩き方(1/7 ページ)

» 2022年10月04日 10時40分 公開
[窪田順生ITmedia]

 16億6000万円を投入した「国葬」が、その額のわりにあまりに安っぽかったのではないかという指摘が相次いでいる。

 例えば、SNSやネット掲示板では、祭壇がかなり薄く見えるような横からの写真や、会場にパイプ椅子が並んでいる写真ともに以下のようなコメントが寄せられている。

 『安倍さんの国葬、あまりにも「ハリボテ」で世界中が大爆笑』

 『体育館でパイプ椅子だしな  これ半分全校集会だろ』

 『オグリキャップの葬儀でつくられた祭壇のほうが豪華だった。中抜きされているとしか思えない』

 愛国心あふれる方からすれば、怒りのあまりどうにかなってしまうほどの「不謹慎発言」のオンパレードだが、実は同様の指摘は、国葬を目にした海外メディアからも寄せられている。

英国の国葬と比べると……

 例えば、米ウォール・ストリート・ジャーナルは、「Shinzo Abe State Funeral Draws World Leaders, Protesters」(9月27日)の中で、国葬礼賛派が一番言われたくないことをチクリとやっている。

 「エリザベス女王の豪華な国葬とは対照的に、安倍氏の国葬は式典への長い行列や大規模な軍事展示を特徴とせず、祝日でもなかった」

 要するに、13億円をかけたエリザベス女王の国葬が、2.4キロに及ぶ葬列で国民に見送られたり、英国国教会やイギリス軍が厳粛な雰囲気の中でセレモニーを行い、豪華絢爛(ごうかけんらん)な印象を世界に与えたのに対して、16億円をかけた日本の国葬はかなりチープな印象を受けたというワケだ。「菅さんの弔辞で涙腺崩壊」と感動に包まれた方からすれば不愉快極まりない話が、国内外で多くの人々が「なんか安っぽいな」と感じてしまったのは紛れもない事実なのだ。

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