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リモートの職場トラブル、落としどころは? 「束縛する上司」と「スマホで株式投資をする部下」(3/3 ページ)

» 2022年10月17日 05時00分 公開
[溝上憲文ITmedia]
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ハラスメントにつながる危険性

 ハラスメントの事例もある。IT企業の人事部長はこんなケースもあったと話す。

 「ある部署のチーム内のZoomのミーティング中に先輩社員が後輩の社員にふざけて『彼女が部屋にいるんだろう、紹介しろよ』と何度も言い、怒った後輩がZoomを切ってしまったそうだ。最初はちょっとした笑い話かと思っていたが、別の部署でも『奥さんにあいさつしたいから、顔を見せてよ』と言ったという事例もある。リモートワークで仕事とプライベートの境の区別がつかない社員もいるし、リモートワーク中の禁止事項など新たなルールを設けることにした」

 たとえ在宅であっても勤務時間中であれば職場であり、本人が嫌がる行為を何度も繰り返すとパワハラに当たる。

 この事例もプライベートな領域に踏み込んだパワハラに近い行為だ。

プライベートの領域に踏み込んではならない(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 「パワハラ防止法」が2020年6月1日に施行された(中小企業は2022年4月施行)。法律ではパワハラを(1)優越的な関係を背景とした、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、(3)就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)と定義し、この3つの要素を全て満たせばパワハラとなる。

 優越的関係とは上司と部下の関係だけではなく、同僚や部下からの集団による行為も入り、それに抵抗または拒絶することが困難なケースも該当する。オンライン上だからと執拗に同僚が嫌うプライベートな話題を振るのは要注意だ。

 オンライン会議で本人が嫌がるプライベートな問題を話題にすることはもちろん、部下と上司の1対1の面談の際にプライベートな話題に言及しないようにすることも必要だ。

著者プロフィール

溝上憲文(みぞうえ のりふみ)

ジャーナリスト。1958年生まれ。明治大学政治経済学部卒業。月刊誌、週刊誌記者などを経て独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』で日本労働ペンクラブ賞受賞。


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