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リモートの職場トラブル、落としどころは? 「束縛する上司」と「スマホで株式投資をする部下」(1/3 ページ)

» 2022年10月17日 05時00分 公開
[溝上憲文ITmedia]

 新型コロナウイルス感染症の行動規制が緩和され、出社する人が増えている。ただし、週3日在宅勤務、2日は出社といったハイブリッド勤務のケースも少なくない。

 東京都産業労働局が9月に発表した「テレワーク実施率調査結果(8月)」によると、都内の企業のテレワーク実施率は58.6%。従業員300人以上では72.6%に上る。実施している社員割合は39.2%だった。テレワーク実施回数は週5日が23.2%で、週2〜4日のハイブリッド勤務が44.6%を占める。

 このコロナ禍で、テレワークに加えてフレックスタイム制による時差通勤もあり、職場のメンバーが一堂に会する機会は激減した。そのため、課長などが定期的にコミュニケーションを取る場を設定し、仕事の進捗状況を確認するルールを作っている職場も増えている。その結果、無用の共有ファイルなどが増えて困るという話もある。

テレワークで共有物が増え、疲弊するメンバーも(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

オンラインですれ違う、上司と部下

 人材ビジネス会社の人事課長はこう語る。

 「オンラインでの情報共有が活発になりすぎて、本人には必要がない文書まで送られてきて辟易(へきえき)している人が増えているようだ。メールにCCをつける人が結構いるが、直接関係がないのに、あなた知っといてねという感覚で送るのと同じ。オンライン会議にも『皆聞いといて』という感覚で参加させてしまい、別に全員が知らなくても大丈夫だという線引きが分からない。職場のメンバーもいろんな会議やミーティングに呼ばれるが、参加しないとやる気がないように思われてしまうので参加せざるをえなくなる。実際に参加しても内容はたいしたことはなかったとか、煩わしいことが増えている」

 必要性のない資料や会議によって、仕事効率が阻害されるなど、ハイブリッドになったことで以前のオンライン会議ではなかった問題も発生している。

 サービス業の人事課長はこう話す。

 「若手社員がメインで主宰し、メンバーを招集するオンライン会議もある。そのときは上司の課長や部長も呼ばれていた。ところが主宰した社員は在宅でラフな私服姿。一方、上の幹部は本社の会議室から参加したが、周りから『自分で呼んでおいて、どうして司会のお前が会社にいないんだよ』という険悪な雰囲気が漂った。自分で招集するなら出社して準備しておくべきだろうという上下関係の礼儀が日本企業にはまだ根強く残っている。幹部も憮然(ぶぜん)としていたが、そうした空気が読めない若手社員もいる」

 こうした服装や出社の有無が、オンライン会議のマナーといえるかどうかはともかく、職場内のトラブルに発展する可能性もある。

服装や出社の有無でトラブルに(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 ただし、在宅勤務中の服装に関して文句をつけるのは禁物だ。就業中の身だしなみについては、顧客先への訪問など合理的な範囲内であれば、会社がスーツの着用など一定の制限することも可能であるが、顧客との直接の接点のない在宅中の服装は私服でも許されるだろう。

 広告業の人事部長も「オンライン会議にさすがにパジャマ姿で出る人はいないが、服装は自由でよいとしているので私服の人が多い。でも中にはちゃんとネクタイを締め、背広を着て出る人が何人かいる。『どうしてネクタイをしているんですか』と聞いたら『自分の戦闘服です。家だとダラダラ仕事をしてしまうので』と言っていた」と社内の実情を明かした。

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