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「なだ万」社長に聞く 「北海道フェア」を開催した3つの理由コロナ禍で1店舗も閉鎖せず(1/3 ページ)

» 2022年10月19日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

 新型コロナウイルスの悪影響が直撃した業界の1つに飲食業がある。

 新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の特性上、人から人への感染が起こるため、外食することを控えなければならず、政府からも営業自粛や時短営業が求められた。

 それは、創業192年の日本料理の老舗「なだ万」も例外ではない。同社は2014年にアサヒビールの傘下に入り、以来グループでのシナジーを発揮してきた。

 アサヒビール出身の巻木通浩社長に、「都道府県別 産直フェア」を再開し北海道を選んだ狙いや経営者としてのポリシーを聞いた。「北海道フェア」では、全国のレストラン20店舗で特別コース1万4520円(消費税・サービス料込み)を、全国のなだ万厨房ショップ43店舗と、なだ万の通販サイト(お弁当配達)では特別弁当を販売している。

 レストランでは、鱈場(たらば)蟹、オホーツク塩、新得(しんとく)そば、十勝納豆、ふらの和牛、せたなサーモン、知床鶏、北海道米「六・二・二」、松前漬、網走湖産蜆、海峡わかめ、栗かぼちゃ、ハスカップアイスなどを提供。なだ万厨房では、「北海の黒」という北海道産のブランド牛肉を使用した牛香味焼や秋鮭を入れたお弁当「北海道味めぐり」を1折2484円で用意した。

photo なだ万の巻木通浩社長

3つの海に囲まれた北海道 食材の宝庫

――なだ万は「都道府県別 産直フェア」の第8弾として北海道フェアを開催中です。フェアの狙いと背景を教えてください。

 実はもっと早く実施したかったのですが、新型コロナの影響で開催できませんでした。フェアの目的は3つあります。

 1つは、日本各地の地域の隠れた食材や料理を発掘することによって、農家や漁業関係者、地域の活性化をわれわれの手で応援したい狙いがあります。 

 2つ目は、調理人にとって新しい食材を使うことによって新メニューを生むことです。それは調理人やチームのレベルアップにもつながります。3つ目は、今はコロナでできないのですが数年前にフェアを始めた時にしていたように、海外の方に日本の食材を紹介することです。

 1回目は長崎を、8回目となる今回は北海道を選びました。皆さんご存じの通り、北海道は食としての「コンテンツ」が強いからです。昔から行いたかったのですが、ようやく開催することができました。

photo なだ万北海道フェア レストランコース料理(プレスリリースより)
photo 献立

――北海道を選んだのは、マーケティングの面でも、売り上げの面でも貢献できる根拠があったからでしょうか?

 百貨店で各都道府県の物産展をやると北海道が一番、売り上げが多いそうです。それだけ魅力のある食材がそろっているのです。

 例えば、魚であれば、パッと切って刺身として食べるなど素材を生かす食べ方をします。そこで「私たちが素材に手を加えた場合、こんな北海道料理になりますよ」とアピールもできると考えています。

photo なだ万厨房で提供する北海道フェア「北海道味めぐり」
photo 献立

――メニューを見ると、いろいろな食材を使っていますね。

 総料理長の上村哲也らが、4泊5日で北海道内を飛行機に乗って飛び回りました。ハードなスケジュールをこなしながら食材を探したようです。

photo 左が総料理長の上村哲也さん
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