――経営者トップとして1300人の従業員をまとめているわけですが、気を付けていることありますか?
コロナ禍では外食自体が世間から良いイメージを持たれず、売り上げも下がり、従業員のモチベーションが下がりました。これは従業員の責任ではないので、店が再び営業できるようになったときに、「ご来店いただいたお客さまを大事にして、自分ができることは何かを考えよう」「自責で頑張ろう」と社長になってからずっと発信してきました。
これまでは、ご来店いただいたお客さまに滞りなくお帰りいただくといったところがありました。それがコロナ禍によって調理人は本当にいろんなことを考えるようになりましたね。
例えば、お客さまが自宅では召し上がれない、日ごろよりも豪華な料理を召し上がっていただきたいとの思いから、コロナ禍は原価をかけて、高級な食材を使用した料理を提案したりしてくれました。
普段忙しくて教えられないことを、今回の状況を利用して若い人に教えたりもしましたね。
――自責ですか……。よく「何があっても全て自分の責任だと考えよう」という掛け声を聞きますが、コロナという明らかな外部要因でも、そのように考えないといけないのですか?
現場の従業員には、自分の責任の範囲内でできることを求めました。ですが経営責任を担う経営者層は、自責で考えないといけないと思います。できることをして、ダメージを最小限に抑えるにはどうしたらいいのかを常に考えてきました。
当社は2030年に創業200年を迎えます。経営者として夢を語ることも必要かもしれませんが、「コロナ禍の3年間を、どうしのいでいくのか」ばかり考えていて、あまり明るいことは言えませんでしたね。
――おいしいモノを作るためにはコストが掛かります。一方で経営的な視点から見れば、コストばかりを掛けるわけにはいきません。そのバランスはどう取っていますか?
もちろん経営的観点からは原価を下げたい思いは常にあります。ただ、それはなだ万の方針には向かないと思っています。
なだ万では、各店舗でそれぞれの調理長が工夫した料理を提供しているのですが、年に数回は全国共通メニューを出したりフェアを開催したりしますので、その時は大量仕入れができますから、コストを下げながらも良い料理を提供することができています。
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