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「なだ万」社長に聞く 「北海道フェア」を開催した3つの理由コロナ禍で1店舗も閉鎖せず(2/3 ページ)

» 2022年10月19日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

コロナ禍で1店舗も閉鎖せず

――巻木社長はアサヒビール北海道統括本部長として2014年から約2年間、北海道に赴任しています。北海道の強みは何だと感じていますか?

 外から見て気づいた北海道の良さは、太平洋、日本海、オホーツク海の3つに面しているところです。細かく言えば、函館と青森の間には津軽海峡もあるので、それを含めるならば4つです。北海道の人にとっては普通でしょうが、本州ではあまり入ってこない海の幸があります。

 十勝平野に代表されるように広大な土地での農業もあります。トウモロコシ、アスパラ、じゃがいもなどが栽培される上に、酪農も発展しているので質の高い乳製品があります。これを生かしたスイーツ、バターは北海道ならではだと思います。私は北海道の人がご飯にバターをかけて食べるのを見て驚きました。

 強みとは少し異なりますが、本州の人間からすると北海道は遠くて簡単には足を運べないため、非日常感があります。「北海道に行かないと食べられない」という思いがありますので、「フェアを通じて北海道の料理が食べられますよ!」と、お客さまに強くアピールできると考えています。

photo なだ万厨房で提供する北海道フェア「北海道味めぐり」

――新型コロナで人々の行動に変化が生まれました。その影響はどうでしたか?

 ご存じの通り、お酒を売れず、午後8時までの営業時間短縮などもありました。お客さまの数が見込めないときは店を一時閉めたりしていました。第7波では行動制限を行わないという政府の方針が出ましたので、何とか営業することができています。

――2014年になだ万はアサヒビールのグループに入りました。どういったシナジーがありましたか?

 例えば、今回の新型コロナでは、グループとして雇用を守るという方針が出ましたので、この3年間、1店舗も閉めていません。自己都合で退職された方はいますが、基本的に全社員が残っています。

 厳しい経営環境下ではありましたが、財務体質も良かったですし、得意先からもしっかりと食品を卸してもらえました。安心して仕事ができたのはシナジーを発揮できた点だと感じています。

 逆に、なだ万からグループへのシナジーですが、アサヒ飲料で「なだ万」が監修した日本茶のペットボトルを発売するなどブランド力を提供できていると思っています。

photo なだ万監修 日本茶 PET500ml(アサヒ飲料のWebサイトより)

――アサヒグループ傘下にはニッカウヰスキーもあります。ウイスキーに合うなだ万の料理といったことは考えられますか?

 なだ万では、ビール、ワイン、日本酒が3本柱となります。ウイスキーの売り上げはあまり大きくありませんが、今後はウイスキーに合う食材を仕入れていきたいと考えています。

 良いウイスキーをロックで飲む場合は、料理には強すぎるのかなとも考えますが、ハイボールは料理にも合うと思います。

photo なだ万厨房で提供する北海道フェア「北海道味めぐり」
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