(1)信頼関係は免罪符ではない
「彼とは信頼関係が出来上がっているので大丈夫です」
パワハラの訴えがあり、その訴えの対象となった上司に事情を聴いてみると、このように主張をする人が少なからずいます。信頼関係ができているはずの部下からの訴えですから、自分が思ったほどの信頼関係がなかったか、もしくは、やりすぎてしまったのでしょう。
いずれにしても、信頼関係は一方的に構築できるものではないし、そもそも、信頼関係があればハラスメントが許されるというのも間違いであることを理解しましょう
(2)ルールを理解する
業務上、必要な指示や指導であれば、それはハラスメントにはなりません。もっと言えば、管理職として必要な指示はしなければならないのです。労働契約とは、使用者が指揮命令をし、労働者はそれに基づいて労働を提供し、その対価として賃金を得ています。従って、労働者は契約上、管理職からの指示に従わなければなりません。
嫌がらせや無理難題を押し付けるような指示でなければ堂々と業務指示を行い、従わなければ規則に沿った処分などの対応をすればよいのです。そのためにも、会社の就業規則をはじめとしたルールは理解しておく必要があります。なお、ジョブ型のように一定の業務限定で契約を締結しているのに、まったく異なる業務命令を強要することはできませんので、こちらも事前に把握しておく必要があります。
(3)管理職の役割を理解する
「これって意味あるかな?」
何か言ってしまいそうなときには、一旦こう考えてみてください。そもそも、今何のために部下と向き合って話をしているのか? 「業務遂行のため」や「部下の成長のため」に向き合っているのではないでしょうか。そのために、今から発しようとする言葉や行為は本当に役に立つと思いますか?
もちろん、正当な指導であれば問題ありません。しかし、指導のついでに“人格を否定する”など関係のない言動を挟むことは許されません。部下の言動がもどかしく、イラついて暴言を吐いてしまうことがあります。そこで一呼吸を心掛けてください。
また、政治家の失言と似たような感じですが、「面白おかしく注意しよう」「こういう言い方したらウケるかな」など自分ではリップサービスの一環と思っていても、言われた方にとってはサービスにもなっていません。より理解しやすいようにとこういった手法をとるのでしょうが、これはある意味、相当高度なテクニックを要する指導ですので、よほど自信がない限りはやめておきましょう。
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