レオパレス21「赤字686億から復活」の大きな誤解 施工不備問題が残した“傷跡”と未だ苦しい実態妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/6 ページ)

» 2022年10月26日 05時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

 先ほどの業績の推移を見ると施行不良問題が発覚した19年3月期にはいきなり大赤字になっていました。

 賃貸不動産が業績悪化に陥る要因といえば一番は入居率の悪化ですが、入居率とはこんなにも急に悪化するものでしょうか? 施工不良問題が発覚したといえ、引っ越しはそう簡単にできるものではないため、大幅に入居率が悪化するとは考えにくいです。

photo 2019年3月期の決算概要資料より

 実際にレオパレス21の入居率の推移を見てみると、19年3月期の入居率は88.34%の高水準を保っていて、黒字を維持していた17年3月期の入居率88.53%とほぼ同水準です。つまり、この赤字の理由を入居率の悪化に求めることはできません。

入居率の悪化でも、改修工事のコスト増加でもない

 では、施工不良に対する改修工事が必要となり、コストが膨らんだのでしょうか? これも違いそうです。数百億円規模の工事をこの短期間で始めることは、当然ながらできません。

photo 2019年3月期決算短信より

 レオパレスの業績を見ても、補修関連損失は40億円ほど。686億円もの大きな赤字に到達する規模ではありません。

 では、どうしてこの時期に大きな赤字を抱えたのでしょうか?

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