18年、滋賀県栗東市に1号店がオープンした「222(トリプルツー)」もまた、半額を売りにしたアウトレットの店だ。現在、関西、関東、東海に13店を展開している。
時系列的にみて、今日の半額専門店の元祖がこの222と目される。
店内の食品、日用品、化粧品、洋服、ペット用品などが全て表示価格から半額となっており、スーパーの形式で販売されている店もある。経営はガットリベロ(滋賀県栗東市)。
222はネット通販の返品を中心に販売。輸送中に外箱の一部が潰れた、保管期間中に受け取られなかった、サイズが合わないなどといった理由で返品された商品や、賞味期限が迫った食品を、メーカーから格安で買って並べている。店内の商品は、新品または新品に等しい新古品となっている。
ロードサイドの大型店では、2万点に上る豊富な品数がそろう。
同社はもともと古書などをネット販売していたが、11年の東日本大震災が転機となった。荒木伸也社長が、被災した知人の経営者から、箱が棚から落ちたなどの理由で、出荷できずに多くの商品が倉庫に山積みになっていると相談を受けた。同様に、商品に問題がないのに不良在庫になっていたり、無駄に捨てられていく商品が多いのではないかと荒木社長は考え、もったいないを無くす精神で、半額専門店を始めたという。
半額専門店のトーアマートは、中間流通を省いて激安の低価格を実現しているという点で、ざっくりと「業務スーパー」「角上魚類」「しまむら」などと似たようなビジネスモデルといえるかもしれない。
また、半額倉庫と222は、サイズが規格に合っていない農産物や未利用魚を流通させる仕組みを、工業品に適用したような感じの商売だ。アウトレットで売れ残ったアパレルを格安で販売する、オフプライスショップにも似ている。
半額専門店では、普段あまり見かけないメーカーの品や売り切りの商品も多く、ドン・キホーテやリサイクルショップのような掘り出し物を見つけるワクワク感もある。
物価高と、ごみを減らすSDGs的な考え方の普及を背景に成長する、半額専門店。焦らずに店長を任せられる人材を育成しつつ、店舗数を拡大していけば、物価高で家計が厳しい消費者から大いに支持されるに違いない。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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