気候変動対策を重視する経営思考が強まってきた。二酸化炭素(CO2)排出量の削減度合いが投資家の企業評価につながり、株価にも影響する時代が到来したからだ。環境対策の本気度が、いま経営者に問われている。
こうした流れを受けてCO2の排出量を可視化し、削減手法までをアドバイスする環境経営コンサルティングビジネスが売り上げを大きく伸ばしている。
環境省から転職して、環境経営のコンサルティングを手掛けるブルードットグリーン(東京都千代田区)のトップに就任した八林公平社長に、気候変動コンサルの現状と課題を聞いた。
――ブルードットグリーンのビジネスモデルを教えてください。
上場企業が投資家に対して非財務情報を開示しなければならなくなっています。ただ、いままでに取り組んだことがなく、社内に専門性のある人材もいない気候変動の分野では、どのように開示したらよいか企業側にとってポイントが分からない状況です。このため、弊社では専門的知見をもとに開示の文章草案的なところまでサポートしています。
気候変動に関する開示については、まず企業の事業活動が気候変動に対してどれくらいインパクトを及ぼしているのか、具体的にはどれだけCO2を排出しているのかを出します。これが大きいと、炭素税など制度的なものが強化された場合に会社の利益を圧迫するリスクになります。
CO2を多く排出する事業そのものに対して、今後投資が集まるのかどうかというリスクもありますね。
またサプライチェーンについても、気候変動にどう影響するかを分析する必要があります。自社のビジネスがどういうところに依存しているのか。具体的には原料の調達、物流などサプライチェーン全体を考えた時に脆弱な部分がないかを、しっかり把握する必要があります。
その上でCO2削減に向けた対策を中長期目線でどうするかを提案していきます。逆に、この状況をリスクだけでなくチャンスと捉えて、温暖化が進んでいくとより多く売れるようなサービスもあるわけで、そうしたビジネスにシフトしていく絵を戦略的に描くこともできます。
その辺りを体系的に整理して提案しています。そこではフォーマット、開示する項目が標準化されてきています。それが気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)と、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)という気候変動に関する枠組みと質問項目です。
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