りそなホールディングスは2021年11月、2022年3月期の中間決算を発表した。銀行本来の業務からの利益である「資金利益」「フィー収益」「その他業務利益」の合計である業務粗利益は、前年同期比58億円増の3231億円で、親会社株式に帰属する中間純利益は同244億円増の808億円だった。
同社の南昌宏社長にコロナ禍でも好業績の理由や今後の戦略を聞く。
「少しずつではありますが、良い流れになってきているのかなと思っています。預貸金利益とフィー収益から経費を引いたものを私たちはコア収益と呼んでいますが(同122億円増の687億円)、21年3月期に12期ぶりに反転していまして、その基調を今中間期にも維持できました」と、南社長はコロナ禍でも好調な業績をあげた要因を分析する。
目を見張るのは同120億円増の1055億円となったフィー収益(決済、不動産、信託、ファンドラップ、保険などの各種サービスを利用するときに発生する手数料収入のこと)だ。
「りそなグループ発足以来、フィー収益は半期ベースで最高益となりました。時代の変化とともに、種まきをしてきたのですが、例えば資産運用サービスであるファンドラップ、VISAを標準装備したデビッドカードがグループアプリの進展と相まって、ベース収益としての割合が上がってきたことがあります」
事実、同30.8%という大幅な増加をみせたデビッドカード事業はその最たる例だ。米国やカナダではATMのカードを作る際、デビットカードの機能は標準装備になっている。
「日本はこの分野で遅れてきました。コロナがもたらした非接触という新しい意識が、デビッドカード普及を後押ししたことは間違いありません。当社はその前の段階、5年ほど前からデジタルに力を入れていました。グループアプリとデビットカードの親和性が高く、顧客に新しい価値として提供できていると思います」
DXへの投資が高コスト体質から筋肉質な体質へと社内に変化を生み、経費の部分がほぼ横ばいで推移したことによってコア収益改善に寄与したという。
決済の分野では、米ペイパルが日本のペイディを買収するなど、“今、買って、後で払う”「Buy Now Pay Later(BNPL)」が最近、若者を中心に広がりを見せている。南社長に、この動きをどう捉えているのかを聞くと、もう少し様子を見る必要があるというニュアンスの回答をした。
「日本ではクレジットカードが普及していますが、これも後払いの一種です。日本では今後どうなっていくのか見当の余地があると思っていますが、非対面、非接触における、お客さまの行動変容とニーズを探っていくことがまず大事です。そこから組み立てていきたいと考えています」
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