クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダの中期経営計画を分析する池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2022年11月28日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 11月22日、マツダは中期経営計画をアップデートして、説明会を開催した。

 全体を見ると、過去数回のアップデートを繰り返して来た中経には、大幅な変更があるわけではない。ただ時間の経過とともに、昨日の明日が今日になり、明後日が明日になった。より近くなった未来予測は精度が向上して、詳細になるし、その間に社会の側が変わった部分は反映されている。大筋において、正常アップデートと見ればよい。

 今回はっきりしたのは時間軸ごとのフェーズ分けである。マツダでは2022年から24年までの直近2年間をフェーズ1、2025年から27年をフェーズ2、2028年から30年をフェーズ3と定義した。つまり30年までの年限を2年ごとに区切って、スケジュールを明確化したことになる。

フェーズ1は「電動化時代に向けた開発強化」(出典:マツダの発表資料)

 その上で、それぞれの課題を具体的に示した。フェーズ1では「電動化時代に向けた開発強化」がテーマであり、既にCX-60で第1弾がローンチされた「ラージ商品群」を順次市場に投入していく。ラージ群のメインマーケットは米国なので、北米で先行投資を回収していくことが戦略の中心だ。

「ラージ商品群」の第1弾となる「MAZDA CX-60」日本仕様(出典:プレスリリース)
こちらはラージと同じく北米向け「スモール群」商品の主力である「MAZDA CX-50」(出典:プレスリリース)

 その回収を進めていくためには、現在暴騰中のコスト増加をどう抑え込むかが鍵になる。部品不足、原材料高騰の中で、確実に原価低減活動を進め、また生産が滞らないようにサプライチェーンを強靱化するとしている。このあたりは至極まともで、正攻法といえる。

 長期計画で進めてきた北米戦略モデルのリリースタイミングで、米国経済の景気後退で向かい風というのはマツダの不運であり、本当に毎度気の毒だが、何もマツダだけに吹く逆風ではない。確かにタイミングは悪いのだが、事ここに至って嘆いても始まらない。やるべきことを粛々と進めるだけである。

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