「替え玉受験」で脚光 不正なくす「AI監視型Webテスト」とは?1年足らずで導入100社超(1/2 ページ)

» 2022年12月02日 06時30分 公開
[ITmedia]

 就職活動のWebテストを代行する「替え玉受験」で、初めての逮捕者が出た事件。これをきっかけに注目を集めているのが、AI(人工知能)を使った監視型のWebテストだ。人材コンサルティング会社ヒューマネージ(東京都千代田区)が2021年にリリースした業界初というサービスは、一体どのような仕組みなのか。担当者に話を聞いた。

不正防止ツールとして注目されるAI監視型Webテストとは。画像はイメージ(ゲッティイメージズ)

 同社が開発したのは、AI監視型Webテスト「TG-WEB eye」(ティージーウェブ アイ)。PCに搭載されたカメラを通じて、AI試験官が受験中の受験者の様子を監視する。不審な行動が検知された場合、採用担当者に報告する仕組みだ。AIが不正だと判断するのではなく、不正が疑われると考えられる動作を検出し、不正かどうかの判断は、最終的に採用担当者が行うという。

 21年6月から本格的にサービスを展開し、約1年で導入企業は早くも100社を超える。今回の事件を契機に、問い合わせが急増しているという。

AI監視が抑止力に

 開発の経緯は、コロナ禍の流行前にさかのぼる。企業の採用試験に使われる「適性検査」には、会場で受験する「テストセンター方式」、マークシートで受験する「マークシート方式」、自宅などで受験する「Web方式」――の3種類。地方や海外の在住者など、会場に赴くことが困難な受験生にとって、インターネット環境さえあれば自宅で受けられる「Web方式」は便利で、近年広がりを見せていた。

 一方で、同社が実施した採用担当者向けのアンケートでは、Web方式に対するデメリットとして「替え玉受験やカンニングなどの不正行為」(65.9%)、「問題・テスト内容が漏洩する」(33.3%)――などといった懸念の声が寄せられており、公正性の担保に課題があった。

「Web方式」の適性検査でデメリットに感じる点(ヒューマネージが実施した採用担当者アンケートより、有効回答数211人)

 こうした背景から「有人での遠隔監視を行うオンライン試験方式」が欧米を中心に広まりつつある中、人件費などのコスト削減を目指したのが、AI監視型Webテストだという。開発には約1年半〜2年を要し、コロナ禍も追い風となり、普及が急速に進んでいる。

 「導入企業からは『不正行為はほぼ皆無』との声をもらう。AI監視サービスが抑止力となっているのではないか」と担当者は話す。

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