リテール大革命

「分からないこともある、ことが分かった」 USENが“DXカフェ”を運営3分インタビュー(2/3 ページ)

» 2022年11月30日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

分からないこともある、ことが分かった

――店内に「USEN Camera」を導入していますよね。資料をみると「防犯と分析を兼ね備えている」などと書かれていますが、どのように使っているのでしょうか?

メニューの一例

伊藤: 防犯以外に、来店客の属性を分析することに使っています。男性なのか女性なのか、年齢は30代なのか40代なのか、初めての来店なのかリピーターなのか、店内のお客さまは何人いるのかといった情報が分かるんですよね。

 店は30〜40代の女性をターゲットにしていることもあって、そうした層が多い。ただ、カメラから得られた情報を分析すると、想定よりも40〜50代の男性が多いことが分かってきました。もちろん、現場で働いているスタッフは「40〜50代の男性が多いなあ」という印象は受けているのですが、数字で証明されることによって、あらためて定量的に把握することができる。こうしたデータを受けて、今後は商品開発などに生かしていかなければいけません。

 どの時間帯にどういったお客さまが多いのかといった情報も分かるのですが、40〜50代の男性は朝から昼の時間に利用する人が多いことも分かってきました。店はオフィス街にあるので、商談前にプレゼン資料を確認したり、商談後にメモをまとめたり、サードプレイスとして利用されている人が多いのかもしれません。

 カメラを導入して分かったことは「分からないこともある、ことが分かった」こと。たくさんのデータを取得できるわけですが、それをどのように活用すればいいのか。「CAFE&BAR U」では、来店客の属性を分析することで、その人たちが好みそうなメニューを提供するなど、少しずつ取り組みを始めていますが、実績はまだまだ。PDCAをどんどん回すことによって、“最適解”を見つけなければいけません。

「USEN Camera」(分析用)
「USEN Camera」(防犯・監視用)

――このほかに、カメラをどのような形で使っていますか?

伊藤: 「映像」と「音声」は、ものすごく役に立っていますね。ネットワークカメラなので、リアルタイムで映像が見れますし、音声も聞くことができる。目新しい技術ではないですが、店の状況はどうなっているのか、オペレーションはうまく回っているのか、厨房でトラブルは発生していないのか、といったことが分かるんですよね。

 私は普段、東京で働いているので、すぐに沖縄に行くことができません。物理的な距離があっても、カメラを通じて、オペレーションをチェックできることは大きいですね。

 話は変わりますが、某飲食チェーンが「USEN Camera」を導入していまして、そこのスーパーバイザーの人が「とても役に立っている」と言っていました。その人いわく、店を管理するうえで、50項目をチェックしているそうで。カメラを導入する前は店に足を運んで全ての項目を確認していたのですが、カメラから映し出される映像と音声があれば、35項目はチェックできると言っていました。

 現場に行かなければ分からないこと。料理の温度は適正なのか、おしぼりは熱くないのか、においに問題はないのかなど。デジタルで分からないこと以外は、カメラからの情報で判断していて、「業務効率につながった」と言っていました。

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