サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で強豪スペインに歴史的勝利を収めた日本代表。12月2日早朝は、眠い目をこすりながら勤務に就いたビジネスパーソンが多かったのではないか。企業の中には、国際的なスポーツイベントの際に、特別に時差出勤を認めるユニークな制度を整備しているところもある。
東京都渋谷区に本社があるインターネット広告会社「ファンコミュニケーションズ」。
同社では2014年開催のW杯ブラジル大会以降、日本時間の夜間帯に試合が行われることが多いW杯や五輪の際に、時差出勤を認める「スポーツ観戦推奨時間休暇」を導入している。
同社の柳澤安慶社長は大のスポーツ好きで、今大会も開催地のドーハへ観戦に赴いているという。同制度は「オールジャパンで応援したい」との思いと、社員の疲労回復と能率向上を狙って取り入れたという。
一方で、近年はコロナ禍でリモートワークが定着したことで、オフィスに出社する社員が減少。今回のスペイン戦でも社内で制度のアナウンスはしなかったといい「制度の一定の役割は終えた印象がある」と担当者は話す。
同社はこの制度のほかにも、社員の能率向上を目指したユニークな制度を導入してきた。16年から導入している有給取得を促す制度「残念月」もそのひとつだ。祝日がなく、3連休のない“残念な月”の第3金曜日に有給取得を推奨している。
同じく「ハッピーサタデー」は土曜日が祝日となる場合に、前日の金曜日または翌々日の月曜日に有給休暇の取得を推奨する制度だ。
厚生労働省が20年に企業向けに作成した「休み方に関するマニュアル」では、従業員が休暇を取得しやすい先進的な取り組みとして、同社のこれらの制度が紹介された。
コロナ禍を経て、多様な働き方が広がる中で、休暇に対する従業員のニーズも刻々と変わっていく。同社の担当者は「これからも社員のニーズとマッチする休暇制度の在り方を考えていきたい」と話している。
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