運輸収益の詳細な内訳をコロナ以前と比べていくと
となっており、定期収入に関しても23.2%減少した状況が続いています。つまり、在来線に関してもテレワークの浸透などにより、定期の利用が減少していると考えられます。
また、オンライン会議が一般化する中、新幹線の利用は減少した状況が続くと考えられます。となると行動変容が起きたことによって想定通りの回復が進むかは疑問が残りますし、長期的に考えてもコロナ以前の水準に回復するかといえば難しい部分がありそうです。
そして、今後は長期的に考えると不採算の路線が増えていくことによる収益性の悪化が予想されます。
そもそも不採算の線区は大きく増加していて、特に収益性が悪い1日の乗客数が2000人以下の線区は1987年度は16.3%しかありませんでしたが、2019年度には30.8%へ増加、コロナの影響が出た20年度では35.9%まで増加しています。今後も人口減少が進む中で、不採算線区はさらに増えていくと考えられます。
収支はコロナの影響を受ける前の19年度でも運輸収益58億円に対して営業費用が752億円と、693億円という非常に大きな赤字で、20年度は707億円の赤字といった状況です。
もちろん鉄道は社会インフラであるため、簡単にダイヤ変更や撤退できるものではありません。不採算路線の増加による収益面への長期的な悪影響が考えられるということです。
このように現状のJR東日本は、テレワーク化やオンライン会議の普及といった行動変容により、長期的に考えてもコロナ以前と比べ移動需要が100%まで戻るか不透明な状況におり、不採算路線の増加といった課題も抱えていることが分かります。
JR東日本は営利企業ですから、そもそも収益性の改善が必要だというのはもちろん、これだけ不採算の線区が増えている現状を考えると、都市部の収益によって地方部の社会インフラを守っている部分もあります。都市部での収益性悪化が地方部の移動インフラへの悪影響につながってしまう可能性もあり、インフラを守るという意味も含めて収益性を改善していく必要があります。
となると、やはり重要になってくるのはコスト削減です。
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