「受験生しか見えない」広告なぜ出した? 担当者が伝えたかったメッセージとは体験型の広告(2/2 ページ)

» 2022年12月17日 07時00分 公開
[ITmedia]
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 メッセージは何度も議論し、推敲を重ねた。強すぎたり、受験生を傷つけたりしないよう、「言葉を何度も入念に書き直した」(企画担当者)という。

 赤シートをかざすという体験型の手法が話題を呼んだ一方で、「赤シートをかざさなければメッセージが見られない」という点には、メッセージが広く伝わらないリスクも考えられる。こうした懸念はどう考えたのだろうか。

赤シートをかざすという体験型の手法が話題を呼んだ

「あえて隠す」リスクはなかった?

 「電車内で見かけた赤シートを持つ受験生その1人に届けたいと考えたのが発端だったため、リスクはあまり気にしませんでした」

「『努力しているからこそ見えるものがあるんだよ』ということを体験できる仕掛けでもあるので、その意味でも、あえて隠しているということが強いメッセージになっていくのかなと思いました」

受験生を傷つけたりしないよう言葉を何度も入念に書き直したという

 別の企画担当者も次のように振り返る。

 「ターゲットを絞るのは、リスクとまでは言いませんが、怖いなという気持ちは多少ありました。しかし、広告が見られなくなったと言われる時代、ターゲットを受験生に絞り、赤シートを用いるといった工夫は必要だと感じました」

 今回、SNSで話題になることも強く意識したという。体験できるのは赤シートを持った人に限られる。実際に体験できない人にも間接的にメッセージが伝わるように「あえて隠す」という、関心を引く工夫を凝らした。

「努力しているからこそ見えるものがある」というメッセージを込めている

 あえてメッセージを隠すことで、ユーザーの関心を引く。ターゲットをピンポイントに絞ることで、より強いメッセージ性を帯びる――。広告の可能性と価値を物語る、特徴的な事例になったと言えそうだ。

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