3年で売上10倍! 過熱する「マウスピース矯正」市場で、Oh my teethが成長しているワケ未来の歯科体験(3/5 ページ)

» 2022年12月23日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

競合と棲み分けて、戦わない

 マウスピース矯正の認知が進み、「マウスピース矯正」というワードの検索ボリュームは、ここ10年で約6倍にアップ。検索してみると広告やおすすめがズラリと並び、カオス状態だった。

オー・マイ・ティースによる「マウスピース矯正ブランド年表」によると、19年から参入企業が急増している(オー・マイ・ティースのプレスリリースより)

 オー・マイ・ティースの「通院不要」は魅力だが、他社もまた「安い」「目立たない」「通院が少ない」などとうたって集客しているわけで、どのように競合と差別化しているのか。

 「競合とは、棲(す)み分けて戦わない選択肢を取っています。一見すると似たようなサービスかもしれませんが、大手のA社は100万円近くかかる全体矯正がメイン。導入する歯科クリニックによって価格はバラバラ。コストがかかっても高品質な施術を受けたい人が向いています。

 対して、当社は33万円の部分矯正が9割を占めます。シンプルな価格設定も意識していて、追加料金やオプションの提案もありません」(西野氏)

1994年生まれ、エンジニア出身のCEO 西野 誠氏

 オー・マイ・ティースが注力しているのは、「歯並びが気になるけれど歯医者に通うほどでもない」と思っている層。矯正への関心が強く、予算に余裕がある人は他社に任せ、歯科矯正のハードルを極限まで下げて潜在層を掘り起こしているのだ。

 競合他社との棲み分けは分かりづらいが、調べてみるとオー・マイ・ティースよりもシステムが複雑なところが多い。初診・再診料やリテーナー(保定装置)の料金が別途発生する、カウンセリングに2万〜3万円かかるなど、最終的なコストが不透明。そういった不安要素を極力省くのも、オー・マイ・ティースの差別化ポイントというわけだ。

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