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サントリー・日本生命に続く企業は……? 賃上げムードが高まらない根本的な理由働き方の見取り図(3/4 ページ)

» 2022年12月26日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 もう1つの取り組みは、副収入を得ることです。本業で培ったスキルを自社事業と競合しない範囲で活用したり、趣味をマネタイズする方法を考えたり、投資に挑戦したりとさまざまな選択肢があります。副収入の獲得は、そのまま物価高・実質賃金減少・増税の三重苦に対する直接的な対処策となります。

市場価値を高める「副業」の可能性

 これら2つに取り組むと、副次的な効果も期待できます。会社のためにできることを考えて能動的に取り組む社員は、会社により多くの利益をもたらす存在になっていきます。それは自社内での評価を高めるだけでなく、具体的な実績向上と共に外部労働市場からの評価も高めることを意味します。

 いま、テレビをつければ転職サービスのCMが頻繁に流れているのを目にするように、世の中は慢性的な人手不足状態が続いています。社員が市場価値を高めれば高めるほど、より良い条件での転職可能性も高められるのです。

画像はイメージ

 また、副収入を得る取り組みも外部労働市場における自身の可能性を広げます。さらに、収入源を複数に分けることができればリスクヘッジにもなります。一社からの収入だけで十分な状態であれば、それはそれで望ましいことかもしれません。しかし、収入ルートを一社に依存している状態は何らかの事情でその会社の存続が危うくなった際、共倒れする危険性もあるはずです。

 収入源を複数に分けることができれば、会社が得意先への一社依存を避け、複数の取引先から売り上げを立てられるようにしてリスクヘッジしているのと同じメリットが得られるのです。

 さらに、副収入を得る中で新たな技能を磨き、新たな経験を積めば、それを本業に還元させることも期待できます。会社のために自分に何ができるかを考え実践しつつ、副収入を得ながら身につけた技能・経験を本業へと還元して、さらに会社の業績向上に貢献するという循環を実現できた社員は、自らの市場価値を高め続ける正のスパイラルの中に身を置くことになります。

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