企業経営におけるサプライチェーンの重要性事業環境の変化に(4/5 ページ)

» 2022年12月29日 10時30分 公開
[野町直弘INSIGHT NOW!]
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 しかし、これはたまたまなのでしょうか。

 私は、これらの企業事例を見ても、企業経営におけるサプライチェーンの重要性が増していることは間違いないと考えます。前述した3社の好業績企業が意図してサプライチェーンや調達改革を実施しているとは必ずしも言えまえん。しかし、環境変化に合わせて、柔軟にサプライチェーンの構造改革を進めることが、経営面で求められ始めていることは間違いないでしょう。

 さまざまな予測不可能な事態が起こりうる、VUCAの時代には、サプライチェーンのコスト競争力だけでなく、継続性を優先する体制に切り替える柔軟性が求められます。このように、2022年という年はサプライチェーンの構造や柔軟性で競争優位を確保する時代になったと言えるでしょう。

 サプライチェーンの構造や柔軟性を持つことは経営視点からの要請ですが、調達購買部門の取組みとして、考慮すべきことは何でしょうか。以前、私はサプライヤ供給力不足への対応について、1.在庫を持つ 2.マルチ化 3.サプライヤとの関係性づくり の3点を述べてきました。今回の「モノが買えない時代」において、調達購買部門は3つの重要性に気が付かされた年になったのです。

 それは、計画の重要性/在庫の重要性/サプライヤとの関係性構築の重要性、この3つになります。

 従来、調達部門はいくらで買う、にだけフォーカスしてきましたが、いくつ買う、については気にもしていませんでした。購入数量を計画し、それを提示し、確保する、極めて当たり前な話ですが、モノを買う上で、必要な計画機能が欠如していたのです。

 次は在庫の重要性です。従来日本企業はJIT信仰が強く、在庫は悪と捉えていました。しかし、今般の「モノが買えない時代」においては、長期発注、先行発注などで将来の在庫をサプライヤにもってもらう、自社で在庫を保持するなどの必要性が出てきたのです。これも、極めて当たり前な話ですが、どれだけ在庫を計画的に持てばよいのか、検討〜決定する機能も欠如していました。

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