マツダCX-60は、とにかく話題性に富んだクルマだ。FRプラットフォームを採用したラージSUVというだけでなく、直列6気筒エンジンやトルコンレスAT、プラグインハイブリッドなど、マツダ初のアイテムを満載している。
それだけで食指を動かされるマツダ贔屓(ひいき)のクルマ好きは、相当数いることだろう。その一方で、この新型車については課題も皆無ではなかった。何よりもまず、報道関係者向けの試乗会では乗り心地の硬さを訴える人が続出した。
そうした声はわれわれ報道やクルマ評価のプロからだけでなく、その後のディーラー店頭での一般ドライバーやその同乗者からも出ているから、決して乗り心地にシビアな者からだけの批評ではない。マツダはプラグインハイブリッドやガソリンエンジン車の発売を延期してさらにつくり込みを施すと発表しているが、具体的な内容を明かしていない以上、乗り味に対する改善も当然含まれている、と推測するのが普通の感覚だろう。
高速道路のジョイントを通過した時の衝撃の大きさと、そのストロークの収束ぶりをCX-5と比較してみた。赤枠で囲った上下方向のGの動きを見てほしい。ボディ剛性が高いCX-60はジョイント通過時の衝撃が大きく、その後の収束も鈍い(2000キロの状態)しかし、本当に改善が必要なほど足回りに問題を抱えているのか、疑問に思える部分もある。実際、クルマを走らせてみると、フットワークの素直さ、軽快さすら感じさせる動きは見事なものだった。
例えばマツダCX-5も単体で走らせれば十分に素直なハンドリングを示し、フットワークも悪くないと感じていた。だが同時に試乗して確認したところ、CX-60はボディサイズもより大きく、車重も重いにもかかわらず、より俊敏で軽快なフットワークを魅せるのだ。
このハンドリング性能の実現には、正直言って舌を巻いた。FRプラットフォームとなっただけで、これほどまでに動きに違いを見せるのか、と思わされた。けれども少々荒れた路面を走り抜けたときや、高速道路のジョイントを通過しようとする際の感触は、やはり厳しいものだった。
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