おそらく後席の乗員は、より痛烈な乗り味を食らうことになるに違いなかった。感触としてはリアのサスペンションの動きが渋く、まともに上下動していないようだった。スプリングが硬いとかダンパーが強いという程度のレベルではなく、動きたがらないのである。
スプリングが柔らかくてダンパーの減衰力だけ大幅に高いとサスペンションは動こうとせず、入力に対してタイヤのたわみやシャーシやサスペンション各部のしなりが受け止めて、その後の反発によって揺れが収まらない状態になる。これに近い印象だがダンパー自体はそれほど減衰力が高すぎる、というわけではなさそうだった。
用意された試乗車は個体差が大きいという声もあった。そのため試乗会では異なる個体を乗り比べて、両方の良い点を加味して判断してもらおうという意図が感じられた。それでも全体として乗り心地が硬めであることは確かで、報道陣向けの試乗会では乗り心地に対して酷評されてしまったのだ。
試作車や量産の初期ロットには、こうしたバラツキが否めず、生産の現場は組み付けの精度や調整によって解消されることも多い。それでもマツダは今回の乗り味問題について、あくまで「初期なじみが必要だった」というのが公式見解だ。
そこでマツダに無理を言って、現在予約が殺到しているCX-60の広報車であるが、予約の隙間を突いて半日借り出すことに成功。1万キロを走行した広報車を試乗する機会を得た。
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