「最強連合」に向けてイオンを頼ったツルハ モノ言う株主の指摘は本当に正しいのか長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)

» 2024年06月03日 11時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 群雄割拠であったドラッグストア業界で、再編の動きが加速してきた。国内で業界1位のウエルシアホールディングス(以下、ウエルシア)と、業界2位のツルハホールディングス(以下、ツルハ)が2027年末までに経営統合を目指すと発表。両社の大株主であるイオンが主導するという。実現すれば、売上高2兆円規模で業界内ダントツの企業が生まれることになる。

 ウエルシアがツルハの完全子会社となり、巨大化したツルハは近い将来イオンの子会社となる見込みだ。危機感を持った競合他社がどう動くか、注目される。

経営統合の背景は?

 ウエルシアとツルハはともに、M&Aを駆使して大手企業にのし上がった経緯があり、その意味ではよく似た会社である。また、以前からイオンと資本業務提携を結んでもいる。そもそもM&Aが日常化した企業文化かつ、元から交流がある企業同士でないと、経営不振でもないのに、業界でしのぎを削る1位と2位の合併は起こり得ないだろう。

 両社は経営統合後、イオンの持つリソースを生かしてアジア市場も狙うとのこと。ただし、アジアの業界トップである香港のワトソングループは、さらに上を行く3兆円規模の会社。ウエルシア・ツルハ連合は、このワトソングループを当面のライバルと見て、5年を目途に3兆円規模の会社に成長させる意向だ。ちなみに現状の海外展開は、ウエルシアはシンガポールに13店舗(2023年11月末時点)、ツルハはタイに19店舗(2024年5月15日時点)を有しているのみである。

ウエルシアの店舗

 業界大手同士の経営統合には先例がある。2021年10月、マツモトキヨシホールディングス(HD)とココカラファインが経営統合。マツキヨココカラ&カンパニーとなった。ココカラファインのM&AにはスギHDも参戦し、マツモトキヨシと争奪戦になったのは記憶に新しい。こうした事例もあったので、ウエルシア・ツルハ連合はそこまで驚天動地のニュースではなかった。

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