「最強連合」に向けてイオンを頼ったツルハ モノ言う株主の指摘は本当に正しいのか長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)

» 2024年06月03日 11時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

ツルハが大きく劣後しているわけではない

 ツルハは過去、モノ言う株主に左右されないよう、非上場化が検討されているとの報道があった。その際、自社株を買い取るための6000億円ともされる巨額の借入金を調達するのは、困難と見られていた。

 つまり、ツルハはオアシス・マネジメントに追い詰められてイオンに駆け込み、オアシス・マネジメントとイオンのディールによって、イオンの傘下に入るM&Aを受け入れたと見られる。ツルハがウエルシアを子会社化する“小が大を飲む”異例な形となったのは、イオンがツルハ創業家に配慮したのだろうか。ツルハHDはそれだけ、創業家の影響が強い会社ではあるようだ。

 果たしてツルハの業績は、どうなのか。

 さまざまな見方はあるが、コロナ前の2019年5月期決算は売上高が約7824億円(前期比16.2%増)、経常利益は約433億円(同4.1%増)となっていて、経常利益率は5.5%である。2023年5月期は売上高約9700億円(同5.9%増)、経常利益は約456億円(同14.1%増)、経常利益率は4.7%。売り上げは4年間で約24%伸びている割には、経常利益率が落ちている。しかし、目くじらを立てるほど悪化したと思えない。客観的には、順調に伸びている会社に見える。

 比較対象として、ウエルシアはどうだったのか。2019年2月期の決算は、売上高が約7791億円(同12.1%増)、経常利益が315億円(同1.9%増)で、経常利益率は4.0%であった。2023年2月期は、売上高約1兆1444万円(同11.5%増)、経常利益約521億円(同9.6%増)、経常利益率はおよそ4.6%。経常利益はツルハとほぼ同じか、むしろ低いくらいである。

 さらに指標を見ていくと、ツルハの同業他社に対する劣後性が明らかになるかもしれないが、これまで業界トップを争ってきたウエルシアに、ファンダメンタルズにおいてさほど見劣りするとは思えないのである。

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