やはり「酔えるグミ」は無責任なのか UHA味覚糖が間違えたことスピン経済の歩き方(3/6 ページ)

» 2023年01月10日 10時41分 公開
[窪田順生ITmedia]

WHOの圧力に屈した

 WHOはずいぶん昔から、アルコールの有害な使用というのは、世界の健康障害の最大のリスク要因のひとつだと位置付けて警鐘を鳴らしてきた。

 具体的には精神神経疾患、心血管疾患、肝硬変、がんなどの危険因子であるとともに、HIV/AIDS、結核や肺炎など一部の感染性疾患とも関連があり、さらには交通事故、暴力、自殺、傷害にも影響を及ぼすというのだ。

 そこで10年5月、第63回WHO総会で「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」というものが全会一致で採択された。

 これは簡単に言えば、加盟国の政府に対して、アルコールの有害な使用を低減するための取り組みを進めるように「圧力」をかけていこうというものだ。これがバカにできたものではないことは、喫煙者の皆さんは身をもって痛感しているはずだ。

日本でもアルコールが規制されるのか

 かつて日本は欧米と違って、いたるところでタバコをスパスパできる喫煙天国だった。が、東京オリンピックの誘致を境に、東京都や日本政府が続々と受動喫煙防止対策に乗り出した。これは日本人が自発的に「やっぱりタバコは良くない」などと言い出したわけではない。

 日本政府やJOC(日本オリンピック委員会)が「開催させてください」とヘコヘコしていたIOC(国際オリンピック委員会)は、実はWHOとパートナー契約を締結して、「ノースモーキング五輪」というコンセプトで一致していた。だから、中国・北京もロシア・ソチも五輪開催を契機に、喫煙規制が定着したのである。

 つまり、オリンピックを境に日本のタバコ規制が一気に進んだのは、日本人の意思などではなく、すべては「タバコ規制の世界戦略」に基づいたWHOの圧力に屈しただけというわけだ。

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