やはり「酔えるグミ」は無責任なのか UHA味覚糖が間違えたことスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2023年01月10日 10時41分 公開
[窪田順生ITmedia]
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UHA味覚糖の次の一手

 だから、先ほどのロッテの洋酒チョコは「洋酒使用 アルコール分2.0% お酒が入ってしまうので、運転時などはご遠慮ください」と比較的大きめのフォントで明記している。また、パッケージにはお酒と一緒のイメージ写真だけで、「子どもウケ」するようなポップさはない。危機管理の観点から、アルコール規制推進派の人たちに叩かれないギリギリのラインを突いているのだ。

 UHA味覚糖の社内でこういうリスクの議論が行われたかどうかは定かではないが、パッケージのアルコールが2%入っているという表記があまり分かりやすくないことや、「※お子様や運転時はご遠慮ください」という注意書きがかなり小さくなっている事実からも、リスクをそこまで深刻に想定していなかった可能性が高いのではないか。

 厳しい言い方だが、やはり菓子メーカーなので「アルコールというリスキーな成分を扱う」というところまで危機管理の意識がなかったのではないか、と筆者は感じてしまう。

 こういう話をすると、規制、規制でメーカーが萎縮してしまうという人もいるが、ロッテの洋酒チョコのようにアルコールを入れても市民権を獲得している菓子はちゃんとある。「パリピ」などのコンセプトに固執しなければ、戦い方はいくらでもあるのだ。

 事実、UHA味覚糖はこれまでシゲキックスやグミサプリなど、さまざまな画期的な商品開発をしてきた実績がある。今回の「炎上」からパッケージ表記やイメージ訴求の重要さを学んで、「アルコール入りのソフトキャンディー」をさらに進化させてくれるはずだ。

 UHA味覚糖の次の一手に注目したい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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