コロナ禍の中で全国民に一律10万円の特別定額給付金があったが、あれが消費の活性化につながることはなく、ほとんどは先行きへの不安から「貯蓄」に回されてしまった。これとまったく同じことが、中小企業でも起きることは間違いない。
つまり、「中小企業の賃上げのために、岸田内閣は異次元のバラマキをやります」と叫んだところで、その税金のほとんどは、中小企業経営者のポケットマネーや、妻や子どもの名を連ねる役員の報酬へと消えるだけで、労働者の賃金には転嫁されないのだ。
……という話をしても残念ながら、これからの日本では「バラマキ政治」が加速していく。自民党は選挙で世話になる日本商工会議所の手前、「最低賃金の引き上げ」という政策を諸外国のように進められない。
そうなると残された道は、従来通り最低賃金を年1ペースで20〜30円と引き上げながら、「中小企業経営者の皆さん、なんとか賃上げしてちょうだい!」と叫びながら税金をバラ撒いていくしかない。「構造的賃上げ」なんて感じで目新しいキャッチコピーはつくが、内容はこの数十年間やってきたことの繰り返しなので当然、なにも変わらない。
そこに加えて最近、「異次元の少子化対策」とやらが唱えられている。少子化対策は50年以上やってきたが、ほとんど効果がなかったので、残るは大規模なバラマキしかない。
なぜ中小企業の賃金が上がらないのかというと、本質的なところでは「現状維持型」の企業が多いからだ。統計を見てもほとんどの中小企業は成長しないで、何年も規模が変わらない。同じ社員数、同じ賃金で、同じ取引先からの仕事を請け負ってコストカットしながらどうにか企業存続のための費用を捻出しているような会社が大多数なのだ。
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