2023年は「ハイブリッド再評価の年」になるかもしれないワケ鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)

» 2023年01月30日 07時00分 公開
[鈴木ケンイチITmedia]

 ここ数年、さかんに「EVシフト」が叫ばれてきました。そして、実際にそれを現実化する動きもあります。2022年は、トヨタがスバルと共同開発した「bZ4X(スバル名はソルテラ)」を発売しました。これによって、スズキとダイハツを除く、全ての日系自動車メーカーがEVを販売することになりました。

hev bZ4X(ニュースリリースより引用)

 また、日産と三菱自動車は軽自動車EVである「サクラ」と「eKクロスEV」を投入。この2台の軽自動車EVは、自動車メディアからも高く評価され、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」「RJCカーオブザイヤー」の2冠を達成しました。まさに、22年は「EV大衆化元年」とも呼べるような年となりました。

hev 2冠を達成した「サクラ」「eKクロスEV」(日本カー・オブ・ザ・イヤー公式Webサイトより引用)

注目度は高いが、売れていないEV

 EVへの注目度が高いことは間違いありません。では「EVが売れている」のかといえば、実際のところそんなことはないのです。日本自動車販売協会連合会が発表した「2022年1〜12月の燃料別メーカー台数(乗用車)」を見ると、1年間に売れたEVの数は3万1592台。国内販売約222万台の新車販売のうち、わずか1.4%にすぎないのです。18年は0.9%、19年は0.8%、20年は0.6%だったことを考えれば大きな伸びですが、絶対数はまだまだ売れているというほどの数字ではありません。

hev 2022年1〜12月の燃料別メーカー台数(乗用車)(日本自動車販売協会連合会公式Webサイトより引用)

 高い評価を受けた「サクラ」「eKクロスEV」はどうでしょうか。全国軽自動車協会連合会が発表した「通称名別新車販売確報」を見ると、22年の「サクラ」の販売台数は2万1887台で、「eKクロスEV」は4175台。発売が6月であり、わずか半年で2万台以上を売り上げたのは、単体のEVとしては大ヒットといえるでしょう。しかし、あくまでも「EVとしては」という前提条件での話。その数は、最も多く売れた軽自動車のホンダ「N-BOX」の年間販売台数20万2197台の、わずか10分の1ほどにしかすぎないのです。

hev 通称名別新車販売確報(全国軽自動車協会連合会公式Webサイトより引用)
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