そんな状況の中、1月10日にトヨタは新型「プリウス」を発売しました。「プリウス」といえば、世界初の本格量産ハイブリッドカーであり、環境に優しいエコカーの代表格です。その性格付けにより、旧来のエンジン車好きから「遅くて、格好悪いクルマ」と言われた歴史もあります。
ところが新型「プリウス」は、そんな過去のうっぷんを晴らすような、低く構えた斬新なデザインが採用されました。豊田社長からの「次のプリウスはタクシー専用にしてはどうか」という打診に対して、開発陣は全く正反対の「エモーショナルなクルマ」を押し通したそうです。エコでありながらも「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」を実現したうえ、価格は275万円からです。
格好良いスタイルに手の届く価格、もちろん燃費性能も抜群です。最高32.6km/L(WLTCモード)もの低燃費を達成しています。環境対策的にハイブリッドは、確実に成果を出しています。また、3月ごろには、プラグインハイブリッド(PHEV)も追加されるそうで、相当な人気モデルになるのではないでしょうか。
また、同じ1月にマツダは、欧州において「MX-30 R-EV」と呼ぶモデルを発表しました。これは、ロータリー・エンジンを復活させて発電機として搭載する独自のプラグインハイブリッド車です。欧州だけでなく、日本での発売も期待できます。
つまり、1月の新型「プリウス」「MX-30 R-EV」、3月の「プリウスPHEV」というように、この春はハイブリッドの話題が続いていくのです。
EVは話題になるけれど、実際に数多く売れる訳ではありません。そして、実際に売れ筋となるのはハイブリッドです。前述の22年の「燃料別メーカー別台数(乗用車)」を見ると、現在、最も多く売れているのはガソリン車(42.3%)ではなく、ハイブリッド車(49.0%)なのです。
新型「プリウス」によって、ハイブリッドのネガティブなイメージが払しょくされるでしょう。また、話題のプラグインハイブリッドも投入されれば、改めてその便利さや魅力も知れ渡るはず。そうしたことが重なれば、23年はハイブリッドやプラグインハイブリッドの価値が、改めて見直される年となるのではないでしょうか。
1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。
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