現状の課題を尋ねると「安全施策を強化したい」と岡野氏。
「道具屋筋は道幅がそれほど広くないので、自転車や電動キックボードは降りて歩くようアナウンスしています。しかし、それを守らず、かなりのスピードで突っ走っていく人がいます。各店舗の事業者からも『危険なのでどうにかしてほしい』と言われていて、自転車や電動キックボードに乗った人を検知してアラートを出せるようなシステムがつくれたらいいですね」(岡野氏)
現状は看板を出したり、案内ロボットに「自転車は降りて押して」と書いた紙を貼り付けたりして注意喚起しているが、なかなか減らないそうだ。
小売店ならではの「万引対策」も求められている。道具屋筋では年間約100万円の万引被害があるという。防犯カメラに犯行の様子が写っているものの、それを証拠に犯人を逮捕するのが難しく、現行犯で逮捕するほかないそうだ。
「現状は、カメラの映像を写真撮影して『この人は常習犯なので注意して』などと各店に情報共有しています。カメラの精度が上がれば、事前に万引き犯の顔を登録しておき、その人が入店したタイミングでアラートを出すなどできればと考えています」(岡野氏)
次々と新たなDXに着手している道具屋筋は、話題性があり活気にあふれた様子が伝わる。同時に、もう少し本格的に分析すれば、より良い運営ができるのではないかと”もったいなさ”も感じる。実際、「年代や性別を判別できないか」「同一人物を1人として判断できないか」「天候などのデータと照らし合わせて人手の傾向をつかめないか」といったアイデアは出ているという。
水際対策の緩和により、22年11月の訪日外客数は93万人とコロナ前の約4割の水準まで戻ってきている。インバウンド需要復活の兆しが見えた今こそ、その受け皿となる商店街はデータを有効活用すべきだ。成功・失敗の事例を商店街内で共有しながら、高速で次の手を打っていく必要があるだろう。
写真提供:道具屋筋商店街
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