昨今の倒産傾向として、「フィットネスクラブ」と「ゾンビ企業」に注目が集まっている。
22年に倒産した「フィットネスクラブ」運営会社は27件で、前年の9件から大幅に増加した。フィットネスクラブは、コロナ禍で感染リスクの高い施設として営業自粛要請などが相次ぎ、通常の営業が困難な状況に陥ったが、リモート環境を活用した非対面型の在宅サービスやアウトドア型事業を提案し、新たなニーズを掘り起こしたことで利用者の早期回復につなげてきた。
しかし、22年は「物価高」が新たな逆風となり業績を押し下げている。食品値上げだけでも月間約6000円増と家計を直撃している中、毎月の会費は不要不急の支出としてコストカットの対象になりやすいと推測している。
一人当たりの平均会費は月約7600円と前年を上回ったものの、光熱費の増加などを背景に会費を値上げしたケースも多く、利用者からの会費引き下げ圧力や退会の動きは前年以上に強まっており、収益改善が難しい経営環境が続いている。
「ゾンビ企業」とは、低金利環境でなければ存続できない企業のことで、コロナ危機がなくとも既にビジネスモデルが破綻してしまっていた場合も含む。22年の倒産件数6376件のうち、借入金の利払いを自前の営業利益で3年以上賄えなかった「ゾンビ企業」の倒産は少なくとも332件発生しており、3年ぶりの増加となった。
再建の見込みがないままコロナ融資などで延命してきた「ゾンビ企業」が、物価高や人手不足、円安といったショックの前に、過剰債務を抱えたまま市場から退出していることが読み取れる。
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