回転寿司チェーンなどで相次ぐ迷惑行為の発覚を受けて、独自に対策に乗り出す飲食店も出てきている。
全国に店舗展開するラーメン店の一蘭(福岡市)は、カウンターの棚に置いてあるコップについて、希望する利用客には洗い立てのコップを従業員が手渡しする取り組みを始めた。担当者は「同じ飲食企業として他人事ではない」と話し、コップ以外でも取れる対策はないか社内で検討を進めているという。
一蘭では、近年ユーチューバーなどから店内で動画撮影を希望する声が増えたとして、2021年8月に「店内での動画撮影に関するお願い」としてルール化し、公式Webサイトで周知している。他の利用客に迷惑となる行為や、従業員のプライバシーを侵害する行為を防ぐことが目的で、撮影を希望する利用客には従業員への事前の声かけと、注意事項の確認を求めている。LIVE配信はどのような場合でも禁止している。
ルール化にあわせて、店内での禁止事項をまとめたガイドラインも策定。「食べ残しや嘔吐、客席を故意に汚すような召し上がり方」「他のお客様を撮影、大きな声を出す、行動スペースを多くとるなどの迷惑行為」「卑猥な言葉や行動、服を脱ぐ行為など」――と具体例を挙げて注意を呼び掛けている。
担当者は「認知も徐々に広まり、ルールを守って撮影してくれる方が多い」として手応えを感じているという。ルールを明文化し周知することは、利用客の食事環境を守り、迷惑行為を未然に防ぐという企業の考えを表明するもので、重要な方法だといえる。
今回、迷惑行為が発覚した資さんうどんは、天かすなどの無料提供商品について、希望する利用客には個包装にしたものを提供すると発表した。過去の迷惑行為が再び拡散したくら寿司も、商品などを判別するためにレーン上部に設置したAIカメラシステムを、不適切行為の検知に活用すると報じられている。
迷惑行為を完全になくすことは難しそうだが、さまざまな方法で抑止することはできそうだ。飲食業界を巡る一連の迷惑行為は対処の方法次第で、食の安全性や信頼をより高めるきっかけになるかもしれない。
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