このような話をすると、マスコミは「報道機関としての使命」がどうしたとか偉そうなことを言うが、そんなたいそうな話ではなく、一連の「外食テロ」報道はシンプルに「数字」(視聴率、部数、アクセス)がとれるからやっている。もちろん、あの行為は決して許されることではないが、世の中にはもっと報道しなくてはいけない問題もあるし、人の命に関わるような事件も毎日起きている。
しかし、マスコミは「映像のインパクト」と、「回転寿司でこんなことされたら気持ち悪いっすよね」という共感が得られて、視聴者の不安を刺激できるコンテンツなので、ヘビーローテーションをしたのだ。
つまり、いま盛んに報道されている「相次ぐ外食テロ」というやつは、視聴者や読者が夢中になる「売れるコンテンツ」なので、マスコミがマッチポンプ的に盛り上げた「タピオカブーム」のようなものなのだ。
ブームなのでそれにのっかる人も多いので、スシローなど回転寿司チェーンはしばらく客足が激減してしまう。これらの企業からすれば、その損害はかなり深刻だろう。その半面、ブームなのでその逆風も長くは続かない。他に大騒ぎできるようなネタがでてくれば、世間の関心はわっとそっちへ流れて忘れ去られて、スシローなどの客足も徐々に回復していくはずだ。
先ほども申し上げたように、卓上の調味料やらにいたずらするような「迷惑客」がこの世から消えるわけではない。繁華街の店舗などでははるか以前から、酔った若者がこんな迷惑行為を繰り返している。というわけでしばらくしたら、スシローも再び同じような被害に遭うかもしれない。だが、ブームは過ぎているのでそこまで大きな騒ぎにならず、「まだこんなバカなヤツがいるんだ」とスルーされるだろう。
なぜそんなことが言えるのかというと、これまで企業危機管理の現場でこういう「ブーム型不祥事」に嫌というほど振り回された経験があるからだ。
平時だと世間の関心事は低いので、まったく誰も問題視をしないような「地味な不祥事」でも、ひとたび世間の注目を集めるようなトレンドが加わると途端に、メディアによって「日本を揺るがす凶悪事件」として大騒ぎされる。
分かりやすい例が、外食の「異物混入」だ。
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